not hero

@unagi277

start

日曜の昼下がり眩しい日照りの中、一人の少年が野原の上で寝そべっていた。

彼の名前はウィリアム、人からはウィルと呼ばれている。

「はぁ」彼は晴れ渡っている晴天の中で大きなため息をついた。

理由は彼は自分の通っている小学校でいじめを受けているからだ。

ウィルは気が弱いため周りの人からよく馬鹿にされている。 

「なんで僕はあいつらに一言いい返すこともできないんだろう。」

いじめられるのはもちろん嫌だが、それよりも彼は自分を馬鹿にしてくる奴らに言い返せない自分自身も嫌いだった。

彼はいつも馬鹿にされる度に次こそは言い返してやろうと思っているが、いざその時になると全く喋れなくなってしまう。

勇気がないのだ。

彼は自分の左腕の時計を見た。時計は午後二時五十分を指していた。

「やばい、遅れちゃう。」

午後三時、ウィルはこの時間になると近所の高齢のおばあさんの家に手伝いに行くことになっている。内容としては庭の芝刈りや腰の悪いおばあさんには届かない高い場所の掃除、電球の取り替えなどだ。それと時々おばさんの昔話に付き合ったり。

結局ウィルは全速力で走ったが五分遅れてしまった。

彼はおばあさんに家に着いてすぐに言った。

「はぁ はぁ 遅れてごめんなさい マチルダさん。」

おばあさんの名前はマチルダという。 

「なあに、たかが五分の遅刻じゃないか、あんたは毎週ちゃんと約束の時間に来てくれているんだからおこりゃしないよ。」

「それより早く家に入っておくれ、一昨日から居間の電球が切れちまってるんだ夜は暗いったらありゃしない。」

そう言って家の中に入っていくマチルダにウィルは着いていく。

ウィルは、脚立に乗り居間の電球を取り替えながらため息を着いた。

「はぁ」

ウィルは時間を守る、ということを自分の中でとても大事にしている。 

なぜなら彼は、気が弱く人より秀でているものが何もないからだ。

だから、ウィルは時間を守るということをとても大事にしていた。

それに、毎週守れているものをできなかった、ということがより彼を落ち込ませていた。

「それが終わったら次はいつもの芝刈りを頼むよ。」

「はい」ウィルは少し元気なく言った。

芝刈りをしながらウィルは次はもうこんなことが起こらないようにしなければと強く思っていた。

マチルダさんの手伝いが終わりお菓子をいただいてから自分の家に帰ってきた、そして日曜が終わった。

次の日、ウィルは憂鬱な気持ちで学校へ行った。 

次の日というがほぼ毎日憂鬱な気持ちで学校に行っている。いじめられているなら先生や親に言えば解決すると思うが、彼はそうしない。

ウィルはこの問題を自分の力で解決しなければいけないと思っている。

自分ではどうすることもできていないのに。

バン! 「どけよ!」後ろから突然、思いっきり突き飛ばされた。

「いたっ」

「トロトロ歩きやがって、邪魔なんだよ!」

「なんだその顔は、文句があるなら言えよ。」

いつものように、ウィルの一日が始まった。




 








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