間章 ー機械音の男と主ー
「……何?仕留めそこなった?」
「はい、申し訳ございません…主」
ソファに座っている男に機械音の男は主と呼ぶ男の目の前に頭を下げる。
主呼ばれた男は目の前の機械音の男に軽く言った。
「いいよいいよ、別に絶対に殺して来いなんて言ってないさ可能な限り殺して来いって言ったから…でも意外かな、お前が撃退されるなんてね」
「……大変申し訳ございません」
怒られていると思った機械音の男はさらに頭を下げる。
主は手をひらひらを振る。
「別に大丈夫だって安心してよ。で何があったのか言ってみ?」
「それが…あの方を殺すことは出来ましたが横やりが入りまして」
「横やり?」
「はい、恐らくあの会社の仲間なのでしょう…なぜか能力がかき消されてしまうのです?」
「かき消される?相殺じゃないの?」
珍しいことだ。
能力者の攻撃と能力者の攻撃による相殺ではなく、能力者の攻撃をかき消すというのは見たことがないと、主は考えを改めさせられる。
「はい、謎の銃弾が私の風刃を砕くのです。私の風刃はそこまで弱くはないと思っていたのですが…」
「うーん…ねぇそいつの銃の柄とか見た?」
「柄…ですか?」
意味がくみ取れない質問に機械音の男は少し戸惑う。
「そ、色とかさ…花の柄があったとか、全身が赤色だったとか…どう」
「……赤色など印象に残るような色ではなかった気がします。私が覚えていない証拠です…推測にはなりますが、黒でしょうか、またはそれに近い色…可能性はほかにもありますが」
機械音の男が銃の色について推測ながらも答えを出す。
すると主は喉をうならせながら上を向く。
そして主は目の前の機械音の男に聞いた。
「……ギルティ、この名前を聞いたことある?」
「…知らないです」
「知らない!?嘘でしょ?」
「申し訳ございません」
常識を問うレベルの問題だったんだけどなぁと主が言うと
機械音の男はまた頭を下げる。
その姿にため息をつく。
優秀で責任感の強い部下を持ったがノリが通じないのはなぁ…と頭をポリポリ掻く
「しょうがない、あんまり表に出てないからしょうがないね。説明するよ」
「ギルティってのはね、今世界で悪い意味で注目されてる連続殺人鬼って言われているんだ。まぁなんでかわからないけど誰かがその姿を写真に撮った誰かが捕虜機関の人間に出したら今までの殺人はこいつのせいなんじゃないかって…もう鎮火は出来なくなったの…まぁここからが重要ね、よく聞いといて」
「わかりました」
「ギルティの特徴。よく定型文のように言われているのがある。
剛腕のとは呼べないやや細身の体系に存在を隠すかのような黒い銃
ワイヤーを駆使して建物から建物へと俊敏に移動する動き
黒いコートを羽織り顔面が見えない男…これだね」
「…主は、私の能力を相殺したのはそのギルティだったと言いたいのですか?」
「直に言っちゃうとそうだね。でもまだ証拠がない、だからまた機会があれば見てみてほしいんだ…特に銃の色にはね…それが分かればもう退出していいよ」
「理解しました、では失礼します」
「あぁちょっと待って…言い忘れたことがある」
機械音の男は主に呼び止められ、主の方に振り返る。
主は今日一番の真剣な表情で忠告した。
「もし何かの運命で、ギルティと会ったら…その時は戦わずに逃げることをお勧めするよ」
「わたしが負けると?そう思っているんですか?」
「ごめんだけどはっきりそう言うよ。君は負ける、ほとんどの確率でね。なんでったってギルティは危険度最高位のSだからね…誓える?」
「勿論です。それが主の意向とならば」
「じゃあこの板に誓って…」
「この板に誓って…」
機械音の男と主はポケットから出した板と板を合わせる。
板には大きな丸が三つトライアングル上に、そしてその上から十字の線が引かれている。
「じゃあ今度こど行っていいよ」
「失礼します」
機械音の男は主の部屋を出る。
一人になった主は引き出しから一枚の紙を取る。
握っているところの紙がくしゃくしゃになる。
「本当にやってくれたよ、覚悟しとけよ?ラックス・ホルダー…」
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