第二十四話 ーダステル首相の願いⅡー

「俺を助けて下さぁぁぁぁい!!」


「……何を言っているのだ」


ギルティには理解できなかった、理解したくなかった

虚無のような恐怖のようなオーラを放っていた男が頭を下げてギルティに命乞いをしたの事で、ギルティは最大限まで思考を巡らせていた。


(落ち着け、まだそうだと決めるのは早い、なにせ相手には能力がある。奴の巧みな言葉の可能性を考えるとやはり俺に触れることが能力の発動条件なのだろう)


「クソみたいな三文芝居はやめろ、お前の能力はあらかた把握した…そろそろ答えてもいいころだ」


「能力だって!?俺は能力使いじゃない!ただの人間なんだ!頼む助けてくれよぉ」


「……」


嘘くさい、何とも嘘くさい。絶対に何か裏がある。そもそも能力のない人間は珍しく、そして戦闘面ではとても弱い。

それ抜きにしても何故に人間がこの国ではなく他国の幹部なんかやってこれている?


「…聞きたいことが山積みだ。すべて答えてもらうぞ」


「それで助かるなら!!頼むよぉ!!」


(…調子が狂う)


しかし好都合、もしこの話が本当なのならばこいつをこき使っていた国の情報、そしてこいつを使った計画の主犯格の情報を教えくれることだろう。


「では聞こう、お前をこき使った連中は誰なんだ、わかる範囲で答えろ」


「それは…!!」


「……ム」


異様、恐怖、殺戮が混ざったような殺気にこの場から一時逃げようとするがもう遅い。

かすかに風を切る音が聞こえたギルティは座り込んでいたダステル首相を持ち上げて上にジャンプした。


そしてそのコンマ数秒の間に先ほどまでギルティ達がいた場所に大剣とは呼ぶには惜しい両手剣が薙ぎ払われた。その剣は今にも追撃しようと動いている。

しかしギルティには見えていないはずもなく、その両手剣を持っている片方の腕を押さえつけるように蹴り、その反動で廊下の方まで位置を移す。


「ひぃ!な、なんだよぉ!」


ダステル首相はギルティの体の中で悲鳴の声を上げる。

避けられないほどの太刀筋ではないが気を抜いたら、ギルティたちの命はここになく、体はきれいに真っ二つになっていただろう。


着地したギルティは目の前にいる奴と向かい合い、互いが互いの力量を図るように見据える。目の前のやつは仮面をしていて顔は見えない。

しかしギルティには目の前にいるそいつが誰なのか判別で来ていた。


「……」


「それで隠しているつもりなら片腹痛いぞ。アミ・ラズベリー」


「……」


ギルティが根拠を言っても目の前のやつ、アミ・ラズベリーからは反応は見られないことにギルティはさらに言葉をつづける。


「その両手剣を見たことがある。それはアミ・ラズベリーの腰に携わっていた剣と、とても似ている」


「……なるほどなッ!!」


もう隠すのはやめだと言いたげにアミ・ラズベリーは夜の静かさをかき消すように大きな声で言った。


「お前ッ!!外で暴れているギルティとその仲間のグループだろ!ダステル首相が殺されてしまうところだったぞッ!!」


「殺されるところだった?あの剣筋は間違えなく両方を殺そうとしていたが俺の間違いか」


「しかし流石だな!!今日のA会場の試験から目にかけていたがまさかこれほどまでとはッ!!あの剣を避けれるのはお前含めて二人だった!!」


(話がかみ合っていないがもういいだろう)


しかしここでのアミ・ラズベリーの言動にギルティは自身の抱いていた疑問を一つ解消した。

それは外の男がギルティではなく別の存在、アクラであるという事だ。

しかしアミ・ラズベリーの言葉により、外の存在はまだギルティではないという事がばれていないことになる。


しかしそれとは別に、なぜアミ・ラズベリーがダステル首相とともにいるのか、ギルティにはそこが疑問だった。


まさか国家と裏の人間が手を組んでいるのか、

ギルティはどこか嫌な予感を感じていた。

そのためにもこいつだけは絶対に持って帰らなけらばならないと反応したギルティはダステル首相に交渉する。


「おい、お前は助かりたいか?」


「あぁ助かりたい!!なんだってするぞ!」


「依頼しろ、ここで俺に助けられたら多額の金、そして俺の目の前にいる奴の情報、そして…」


「わかったから!言われたことはちゃんとするからとにかく助けてくれぇ!!」


「…言質は取った、下がってろ」


「そんなことはさせないッ!!!」


アミ・ラズベリーはギルティに突進する。

その焦ったような表情を見てギルティはこのダステル首相は何か情報を持っていることを認識した。


「来れるものなら来てみろ」


しかしギルティとて、何も準備をしてきていないわけではない。

ギルティは腰につけていた拳銃を取り出しアミ・ラズベリーに向けると、

向けられた本人はさらに感情を高ぶらせた。


「そのようなもので私を止められるとッ!?笑止!」


拳銃に恐れることもなくギルティに向かってさらに加速していくアミ・ラズベリーに

ギルティは迷いもなく右肩を狙って発砲。

その瞬間、アミ・ラズベリーは体を傾けて最小限の動きで回避する。


「私は殺すつもりでやらないと倒せないぞ!!あわよくば私をとらえて情報を聞き出そうとするのが丸見えだ!!」


「…そうだな、では…」


ギルティはもう一度アミ・ラズベリーに銃口を向ける。今度は殺すつもりで…しっかりと心臓を狙う。能力者とて心臓がつぶれれば死ぬのだ。


打つべき時は奴の間合いの拳一つ前、避けるのが困難で、なおかつ躱されても最悪ダステル首相を見捨て避ける、もともとこいつは殺す予定であったのだから何も痛いことはない。


「……どうした撃たないのかッ!!」


アミ・ラズベリーんも間合いのギリギリ外は目算で焼く1メートル50センチ辺り、

ギルティの足でいうところ大股一歩半、そのギリギリ……それよりも


(もっと良いやり方がある…)


「先ほどの銃弾はブラフか!怖気づいてたのかッ!!?」


アミ・ラズベリーとギルティの距離は約三メートル、


「……フゥッ!!」


「…」


ギルティは引き金を引いた。

ギルティは完璧に間合いギリギリで銃弾を打った。

ギルティはアミ・ラズベリーの剣に注目したのだ。

自身の剣の間合いは自分がよく知っているためアミ・ラズベリーが剣を動かした

瞬間、ギルティはそこを間合いギリギリだと確信して銃弾を打ったのだ。


剣を振ろうとしていたアミ・ラズベリーに守る手段は剣で弾く事。

その銃弾を認識しておきながら剣で弾けば、さらなる銃弾がアミ・ラズベリーを襲うのだ。

どちらに転んでも最悪な状況、アミ・ラズベリーは1しかないサイコロを振るしかなかったのだ











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