第二十二話 ーRe,ファーストワークⅡー
ギルティとその他四人は通信手段を用いてそれぞれ持ち場に着く。
「さて、時間だ。気を引き締めろ」
『作戦はあるのか?』
「とにかく目立て、この国すべての人間がお前たちを見るぐらいに目立ってくれれば問題ない」
『目立つね…殺せば簡単に目立てると思うけど?』
「それはやめろ、「今回の殺害はダステル首相だけ、あとは出来る限り生かせ」
『必要な殺しだったら?』
「やれ、それが依頼に必要なら」
『『『了解』』』
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アソトに夜という概念は存在しない。
どの時間であろうともアソトは賑わっており、今日の夜はまた一段と賑わいを見せていた。特に首都アノの賑わいはまるで昼かと勘違いしてしまうほどに明るい。
賑わう街、ぎちぎちの人混み、そして街の様々な黙らすの如く鳴り響くは銃声。
皆手を止め、話す口を止め銃声の鳴る方を見る。
そいつは空中に浮いていた。
剛腕のとは呼べないやや細身の体系に存在を隠すかのような黒い銃
ワイヤーを駆使して建物から建物へと俊敏に移動する動き
黒いコートを羽織り顔面が見えない男。
「…おい、あれって…」
「だれか連絡しろ!!早く!」
「逃げろォ!ギルティだぁ!!」
危険度S、ギルティの姿に街の人は気づいた。皆本能で奴だと思わされ、恐怖に震え上がる者、能力犯罪者を捕虜機関に電話を掛ける者。
ギルティはなぜ故空中に浮いているのか、ギルティは空中から地面に落ちるように着地すると、ギルティが一歩歩めば叫声が響く。
背中を黒銃を抜き、近くにある建物に一度打てば、されに民衆は殺される恐怖に戦慄する。
ギルティは腰に携えているワイヤーを手に取り、街の屋根に突き刺し大きく弧を描いて屋上に飛び移り、そしてそこから離れていった。
そしてそのギルティの後ろから連絡をもらった捕虜機関の人間が追いかけるだけ、
これが狙いであったギルティは内心ほっとした。
(能力を使ってきたらどうしたものかって思ったけど…まぁ何とかなるよね)
首都アノは高層ビル、また高さがある建物がたくさん建造されているため、
捕虜機関のやつらは迂闊に能力は使えない。それに下には民衆もいるため能力を使うとしても民衆の非難がひと段落したときだろう。
しかしそんなことギルティたちにはどうでもよかった。
捕虜機関は下からの黒いローブの男に食い止められ、そのまま落下していった。
「…後は頼むよ、タスク」
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タスクと道ずれ気味に地面に落ちた捕虜機関の人間は周辺を見渡す。
捕虜機関からの連絡に応じ、ギルティを追いかけてきたのは5名、そしてギルティの仲間だと思われる同じく黒いローブの巨兵ともいえる人間。
タスクからしてみれば赤ん坊のようにも思えてきたのだろう。
この捕虜機関の人間からはまるで覇気を感じることは出来なかった。
しかしギルティを捕まえるべく送られた人間であるならばそれ相応の実力があるはず…
「オラぁッ!!」
「ぐあぁ!!」
タスクに向かっていった一人は壁に激突し、その衝撃で近くの壁がほぼ破壊されていた。ほかのやつらの同様にして、なすすべなく壁にぐったりと意識を失い倒れている。何故に勝てないのか、こいつらはギルティの力の片鱗しか見てこなかったからである。
動きの型などとうの昔に忘れたと言いたげな動き、その力で何でもねじ伏せてきたのだろう、連携など力の前では無意味であった。
「…なんだぁ?これで終わりなのか?」
やれやれと腕の振り調子をうかがうタスクに捕虜機関の人間が睨みながら言った。
「…この、バケモノがぁ…」
「俺が化け物だ?それならギルティは一体どうしちまうんだ?魔王か神か?」
「お前たち…絶対に捕まえるぞ…お前のギルティも…全員」
「そうかい、期待はしてないが頭の1パーセントには入れといてやるよ…じゃあな」
「…まて…まだ」
男はそう言ってのち、意識が途切れたのか何も言わなくなった。
そうこうしているうちにも他の捕虜機関も向かってくる、タスクは力任せに屋根に飛びあがりほかの捕虜機関の人間を待つ、
「さぁてと…少しは楽しめるような奴がいるといいんだがなぁ」
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「お前たち!!夜分遅くに失礼するな!!お前たちも分かっているかも思うが!今この首都アノにギルティが出現した!!目的が何なのかははっきりとわからないが何かをしでかすつもりだろう!」
響き渡る聞きやすい怒声はその女性を象徴するような声である。
声の主アミ・ラズベリーはダステル首相の敷地内で、試験をクリアした者たちに協力を煽るため再度招集した。
「無論!死ぬ危険性は高い!相手は人を殺すことを悪と思わない人間の集まりだ!!強制はしない!!だが、それでも立ち向かおうと、この国を守ろうとする人間に私は敬意を払いそれ相応の報酬を与えることを約束する!!では問おう!!」
アミ・ラズベリーは息を大きく吸ってこの世界を破壊してしまうのでないかと思ってしまうほどに大きな声で言い放った。
「いま、ここで逃げる腰抜けはいるか!?お前たちの中にこの国を捨て逃げようとする奴はいるのかぁ!!??」
「…俺は行きます!!この国を守るために、この国の国民を守るために戦います!!!」
「ギルティなんかぶっ倒してやりますよ!!」
その大きな声は数秒の響きの後にやがて無になる。
そしてその大きな声に応えるように次々にA会場のクリア者が声を出す。
小さかった声は徐々に大きくなっていく様はまるで胴上げのようなもの。
「全員参加のようだな!!そうとわかればお前たちにはこれを渡しておこう!!」
アミ・ラズベリーはここにいる全員に小さなバッジのようなもの渡す。
とてもきれいな金色に輝いており、何とも目立ちやすい色をしている。
「これは私たちの事を示す証だ!!同士討ちなどまっぴらごめんだからな!!ではいくぞ!!」
「「「おぉ!!」」」
そうして金色のバッジを持ったアミ・ラズベリー率いる男たちはどんどんダステル首相の敷地から外に足を運んでいく、それぞれが覚悟を決めてこの国を守ろうとする中、一人だけその敷地に残っていた男を除いての話であった。
「…さて」
アルクス・バンターニ、もといギルティはアミ・ラズベリーの群衆について行くことはなくそのままダステル首相の家に足を運んでいった。
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