ー会社始動ー

第十五話 ーファーストワークー

ラックスのからの会社制作を打ち明けられた日の深夜、皆が寝ている時間にまたもや事務室に足を運んでいたギルティは事務室に着き、コンコンと二回ドアをたたくとはーいという声とともにドアが開く。


「おや、ギルティ君来てくれたんですか。では早速こちらに」


椅子に手を向けるラックスにギルティは座り、その正面に机を挟んでラックスが座る。まるで面接官と受験生だ。


「それでギルティ君どうしたんですか夜遅くに、まさか私を夜這いに…」


身を少しよじっているラックスにギルティは呆れながらに言う。


「馬鹿を言うな、そちらが呼んできたのだろう…呼ばれたのは俺だけのようではあるが」


ギルティは時間キッチリに事務室にやってきた。

この時間になっても来ないというのはギルティだけしか呼ばれていないことに他ならないことを物語っている


「そうです、私が呼んだのはギルティ君だけ、何故だかわかりますか?」


ラックスの質問にギルティはすでに答えを出していた。


「どうせミクの事ではないのか」


「はい、ミクさんについて少し話があります…」


「言っておくがミクが外部の人間にこの場所を露呈させるってことはないと思うぞ」


「ギルティ君がそう思っていても、私がそうとは思っていないんですよね…まだ出会ってから二日、ギルティ君でさえもまだ三日にも満たないんではないですか。逆にギルティ君のほうこそよくあそこまで信じることができますね」


図星を疲れたギルティは少し言葉が詰まる。

確かに、何故まだ出会って時間的観点から三日にも満たないミクをそんなに信じていられるのか。


「まぁ…今はそんなことはいいんです、私が会社を作ろうと言った時なんて物凄い眼光で私を見ていましたから」


「…そうか、それはよかった」


「…ギルティ君」


ギルティが無言になりむつ向きがちになってると、ラックスは別の話題を切り出す。

その顔は真剣な顔であり、なおかつ興味を含む顔である。


「そういえばミクさんの能力を私は聞いていませんでした。いったいどんな能力を持っているのか気になります」


ギルティはほかのテシア、タスク、アクラの三人にはミクの能力を打ち明けたが

ラックスにそういう話はなるべくしないようしていた。


ラックスは一時になり始めた事は最後まで追求して絶対に謎を解明しようとする人間であり、もしミクの能力を聞けばラックスはミクにストーカーのように付きまとうが目に見えてるギルティは視線をそらしラックスの言葉を受け流す。


「…お前に教えるとろくなことがない、だから教えることはない」


「大丈夫ですって今回は、本当に約束します」


「本当だろうな?」


「信じてください、誓いますよ」


それでも食い下がるラックスにギルティは数十秒考えてラックスに判断を下した。


「あいつの能力は簡単に言えば未来を見る能力、それ以外は謎」


「…なんですって?」


「だから未来を見る能力だと」


ギルティは気づいた。

この光景見たことがあると、ギルティにしか感じ取れないラックスのこの感じ。

今にも走ってミクのところへ行くのだろうラックスの腕をつかみラックスを全力で止める


「おい待て、さっきの話を聞いてたのか、何処に行くつもりだ」


ラックスは腕を引っ張られギルティの方を見ないで答える。


「ただのトイレですよギルティ君、しかももう寸前まで来ています、早くこの手を放してくれると嬉しいいんですが」


「トイレに行くというのはそんなにニヤニヤしながら行くものなのか、お前はとんだ変態だ」


「えぇそうです私は変態ですよ、なので放してくれませんか?」


「そうか、俺も丁度トイレに行こうと思っていたんだ、一緒に行かないか?」


「「……」」


「…わかりましたから放してください。折れてしまいます」



徐々に力を強くいていき今にも折れそうな力で握っているのを感じたラックスはやれやれと降参し、自分の座っていた椅子に座りなおした。


「まったく、本当にトイレならどうしていたんですか」


「その言い方だと、やはりトイレではなく、ミクのところに行こうとしていたのか…さっき言ったばっかだぞ、お前の誓いはどこに行ったんだ」


「それは分かっていますが…なんですかこう、いい感じに好奇心が働いてしまって…まぁ許してください」


痛い痛いと握られた腕をさすっているラックスにギルティは少し真剣にラックスに問う。しかしギルティには少し違和感があった。


「本当に話はそれだけか?ほかにあるんじゃないか」


ラックスが人気のない場所に直々に呼び出したのならば重大なことが…


「いえ、もうありませんよ。それではよい就寝を」


そんな深読みが空回りになったギルティは拍子抜けし、今一度問う。

そして同時に思う、俺の心配を返せと。


「本当に何もないのか…言っておくが俺に隠し事はしない方がいいぞ」


「何を言っているのかわかりませんが私が聞きたかったのはミクさんの能力についてですので、それが聞ければ満足です」


「……」


ギルティはまだ疑っていた。

本当にそんなことに読んだのか、何か会話に暗号があったかなど思い出してみるがどれもそれに当てはまりそうなことはない。

しかもラックスは先ほどのように好奇心で異常なほどに深く潜っていくミクの能力をただ危機に来ただけでも多少の納得はできる。


心の中で推測が完結したギルティは椅子から立ち上がり扉の方に向かった。


「はぁ…そうか、じゃあまた明日な」


「えぇまた明日。時間、忘れないでくださいよ」


「当たり前だ」


ギルティはそう言い、扉から事務室を出た。


「……はぁぁ」


ギルティが消えたことを確認したラックスは机に昼の時と同じように倒れ込む。

そして一人つぶやいた。


「…言えるわけないじゃないですか。特にギルティ君には…」







─────────────────────────────────────




時間は正午から見て五分前、ギルティとミクは事務室に向かうべく廊下を歩いていた。うちの宿舎は経済発展しているホテルのように一つの長い廊下に一つ一つの部屋がびっしり詰まっていため、意外にも二人隣りで歩くというのはなかなかない


「…ねぇ」


「なんだ?トイレか」


しかしここでギルティはミクの機嫌が少し悪い様に見えるのに気づいた。

考える暇もなくミクの追撃が来る。


「昨日どこ行ってたの?」


「昨日か…昨日はラックスのところで団欒としていたぞ、意外にも会話が弾んだ」


「…嘘、テシアのところに行ってたでしょ…そしてそのままやったんでしょ」


ミクの思わぬ発言にギルティは冷静さを一瞬欠いたがすぐに取り戻しミクにこれ以上ないほどやさしく聞いた。


「なぁ、それ誰に教えてもらったんだ?俺すごく気になるぞ」


「???、ギルティにこれを言えって言われたのはタスクだけど…何かどうかしたの」


「いやありがとうミク、おかげで始めて依頼以外で人を殺すかもしれない」


「…そう」


イメージでタスクを殴り殺すイメージを固めていると事務室に着いたギルティとミクはドアを開け入る。

そこにはすでに三人が椅子に座って集まっていた。


「ギルティ君が一番最後ですよ」


「お前には五分前行動というのを知らないのか、聞いたことねぇか?」


「まぁギルティはいつも時間通りには来るけどそれ以上に早く来るってことは無いもんね。それがいいんだか悪いんだかって感じだけど」


「そうねぇ…あっちの方もギルティったらやたら時間管理がすごくて」


とりあえずテシアを最優先に無視しておき、ギルティは三人の横にある椅子を二つ手に取り置いた椅子に座った。ミクも同様にギルティが持ってきたもう一つの椅子に座る。


「さて、皆さん集まっていただきましたので早速本題に入りましょう」


ラックスは自信の能力を使い俺たちの手元、もしくはポケットにある紙を自分の近くに引き寄せる。


「…全員承諾ですかね。確認が取れました、それではこの中から会社名を決めたいと思っていたんですが、もう面倒くさいので私が決めちゃいました。その名も」


ラックスが指を鳴らすと後ろのカーテンが締まり机の下から大きな大弾幕のような布が空中に浮かび上がる。

そこにでかでかと書かれていた文字は



【最強の何でも屋】


これを聞いた皆が思う『めちゃくちゃだせぇ』と

しかしそれがラックスが分かっていないはずもなく、補足する。


「まぁ皆さんもご存じの通り名称批判はやめましょう、これは即席ですので仮の名称です。では本題に入りましょう…その前に皆さん、【ダステル】という人物を知っていますか」


ダステルという名前、皆一度は聞いたことがある名前にまず反応したのはアクラ。


「聞いたことがあるよ、確か、ここから近い西の国のアソトの首相だとかなんとか…最近勢いがすごいって結構有名かな」


「あぁそういう事か、なんかどっかで聞いたことあると思ったんだ」


「そのダステルとやらがどうかしたのか」


ギルティが最後に言うと、ラックスは指を一本立てる。


「…この会社のルールを一つ決めましょう。仕事による隠し事は一切しないこと、ちゃんとわかるように直接伝えることです」


ではと改めてラックスは顔を上げて俺たちに言った。





「この西の国アソトのダステル首相を三週間以内に暗殺しましょう」





















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る