第十三話 ー危険度S VS 危険度SⅡー
「…すごい」
「すごいわね」
「いやすごいとかの次元じゃないっしょ。もはや別の生き物だよ」
ミクが小さく声を漏らすとほかの二人も次々に声を漏らす。
三人の目は怪物でも見ているかのような、そんな目をしていた。
「…タスクもすごい、早すぎて何も見えない」
超人的な動きを繰り返すタスクの攻撃は外れるたび送られる台風のような風圧に
ミクは目を閉じてしまう。
「タスクの身体能力はもちろんのこと、それに上乗せして能力があるからねそりゃあのスピードが出るわけだけど」
「…じゃあなんで」
どうしてギルティはタスクの動きについて行けるのだろうかとミクは思う。
能力を持たないギルティに追いつく手段は残っているのだろうかと思っていると
アクラがミクに向かって言う。
「ギルティは実際、無能力者ってわけではないんだよね」
「どういうこと?」
ミクが疑問を浮かべるとアクラがさらに説明した。
「ギルティの能力は不明なんだよ、何もわからないんだけどよく言われているのは身体能力強化。それならタスクに追いつくのも納得できる、だけどそれじゃあ吹っ飛ばされた時の着地に説明がつかない」
あまりにもきれいな着地すぎるとアクラは言葉を残してその後はただギルティとタスクの戦いに没頭していた。
「…ギルティのパートナーになりたかったのは二つ理由があるの」
「…何?」
テシアが言った言葉、テシアはギルティのパートナーになりたがっていたのをミクは知っていたので聞き返す。
テシアは指を立てて言った。
「一つはギルティが好きだから、これは私欲」
そして二つ目と言い、テシアはミクに言った
「ギルティにふさわしいのは私だから、残念だけどミクちゃんじゃないの」
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タスクは目の前にいる奴の動きが理解できなかった。
何故自分の速度についてくれるのか、なんで俺の攻撃は当たらないのかを考えてしまう、そんなわかりきっていることをだ。
ギルティはタスクの攻撃を真正面から受けずに受け流す形で動いているため、ギルティはさほど疲れが見えない。
それとは対照的にタスクはギルティに全力能力込みのパンチを何十回としているためすでに限界状態にあった
「はぁ…はぁ」
「どうした、もういいのか」
タスクはギルティの問いには答えない、完全に疲弊しきっていた
タスクの自慢の腕はもう上がっておらず下半身に近い位置でただ手を強く握っていることしかできなかった。
「まだだぁ!!」
疲れ切った腕を意地で上げたタスクは最後ギルティの方向に向かって走る。
一発さえ、一発当たれば…タスクは自分を信じて走る。
しかし、タスクの拳はド三流の拳へと移り変わっていた。
これならミクでも避けられると内心嘲笑ったギルティはタスクの攻撃を避け、がら空きになった腹に今までために溜めた余力を使い腹に正拳突きを叩き込む。
「ッッッ!!!」
肉体的疲労、能力の過度使用、頭ではわかっていたものの、タスクには踏ん張るという事が出来なかった。
完全なパンチを入れられたタスクは初めのギルティ以上に飛ばされ、数十メートル地面をずったあとにとまり、それ以降タスクに動く気配はなかった。
「…おわりだな」
完璧な有効打と思ったギルティはタスクに向かって歩き出す。
ギルティは自分自身何故タスクに勝てるのかよく理解できていなかった。
タスクの努力は知っている。強くなるために努力を欠かさないし、俺に追いつくためにやってることであるとギルティ自身自負している。
しかし勝ってしまう、負けるのは嫌ではあるが自分より努力している奴が自分に負けるのはいけ好かないというのがギルティである。
それもこれもギルティの中にある不可解な能力と関係しているのだろう
タスクのところまで近づいたギルティは頬を叩きタスクの反応を見る。
「んだよ、叩くんじゃねぇ」
「起きているならさっさと立て、それすらもできないか」
「はいはい起きますよっと」
タスクはギルティの声にやや笑ってよっと逆立ち状態から上にはねて着地した。
先ほどと今の状態でだいぶ違うが
「まだ余力が残っているじゃないか、まだやるか?」
「おれりゃもういい、だいぶいい運動になったからな」
「ねぇふたりともーーー!」
タスクとギルティは声をしている方向を見るとそこにはテシアが声を張り上げ、こちらに向かってきていた。
「もう時間ッ!早くしないとラックスがやばくなるよー!!」
もうそんな時間かとギルティとタスクはテシアのいる方向に歩き始めた。
久々の運動ではあったがギルティはなかなか楽しめたようでご満悦であった
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