第六話 ーアジトー
「で、で!どうなったんだこれは」
脳を切りかえてギルティは少女に焦ったように問いかける
危ない危ない、何を見惚れているんだ
「…少し待って」
少女は焦ることなく下に視線を向ける
そこには数多くの追手たちが焦って何かを探していた
「…うん、大丈夫。降りよ」
少女は後ろに振り返り、屋上に入った扉から外に出ていった
「おいおい、本当に大丈夫なのかよ」
ギルティも黒銃を急いで背にしまいドアに向かっていった
その間。少女はギルティの質問に答えた
「見たでしょ。あの追手たちの焦りかたは間違いなく何かあった、あなたが打った黒銃の弾丸がボスの頭を吹き飛ばした以外にあり得ない」
「…まぁ」
こいつ…前々から思っていたが時々口調が達者になるのは何なんだ
「ねえ」
少女がギルティに問いかける
「私は連れてってくれるの?この腐ったような場所から」
少女の目は確信、それに加えすこし懇願しているようなそんな目に
ギルティは少し考えるようなそぶりをしてやがて口を開いた
「…あいまいな確率ってのが嫌いな人間なんだ」
「え?」
ギルティは少女の言葉を無視して独り言のように続ける
「あいまいな確率は判断を鈍らせる、だから何でもかんでも自分で確認しなきゃ気が済まない…そんな俺は今、依頼は終わったからかえっていいと思ってる」
「…それって」
「…条件がある、この先何があっても情ってやつを仕事に持ちこまない。
さらに、お前は俺についてきた保護対象ではなく、一パートナーとして一緒に動いてもらう…さっさと行くぞ」
次は少女よりの先にギルティの方が先に歩き出した
やっとこいつに少しやり返したとギルティは内心うれしい気持ちで、
それは少女もおなじであった
「そうだ…お前の名前をどうするか」
「必要?」
「必要だ、何かないか」
ギルティに言われると少女は荒廃した街を見渡す、しかし自分の名前に由来しそうな物品が何もないのですぐにやめ、フードの中からきれいな目がこちらを見つめてくる
意図を図ったギルティが少女に聞く
「はぁ…俺が決めればいいのか」
「…うん」
「しかしどうしたものか」と、ギルティは考える
正直何でもよいのだが、あまりにひどい名前はこの少女も望んではいない
何かいい名前…能力に関連した名前がわかりやすいか
未来予知…未来…よし
「まぁ安直ではあるが【ミク】…でいいか?」
「…ミク…ミク」
少女は自分が与えられた名前を小さく連呼している
気に入ってくれたのかどうかわからないが嫌がってはいないのはわかった
「さて、まだまだお前の仕事は残ってる、ここを安全に出るためにはお前の力が必要なんだ。できるな?パートナー」
「…任せて」
少女は嬉しそうに言ったそんなにパートナーがよかったのか少女の歩き方にも嬉しさが出ていた少しスキップ気味になっているの見てギルティは愉快な気持ちになった
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少女の能力により名もなき貧民街をでた二人は奥深い森の中を進み始めた。ミクの能力ははやり圧巻というにふさわしい。ギルティが気づかない範囲で街を出るまで誰にも会うこともなかった…ギルティたちは目的地まで歩き出した…歩き出したのだが
「絶対に殺せ!ボスのために!」
「…どうして」
「俺も知りたいところだ」
ギルティたちは追手に追われていた。その数8人、
向こうが速度を上げるたび、こちらも速度を上げる
ギルティは走りで負けることはなく同じスピードかそれ以下である
本当にどうしてこうなった…
街を出るまではだれにも会わずに出ることができた
俺が前を先導して歩いていたのだが、少女が歩く速度が思った以上に遅いことが分かったのでゆっくりと歩いていたらこのザマ…絶賛ギルティがミクを炊き抱える形で走っている
「…ごめん、能力がうまくいかなかった」
「案ずるな、お前の能力成功率は自分でムラがあると言っていたし、それをわかっていても連れてきた」
だから心配するな。とギルティは少女の頭を撫でた
「…どうするの?」
「能力を使ってこない限りはこのまま話は平行線だ…だが恐らく使ってこない。」
森の中だからっていうのは当然あるが
奴らの能力性質は主に中距離近距離を得意とする能力、それは前の追跡でも分かっていたことだ、この距離ではさすがに使ってこないが奴らは馬鹿集団、そのようなことも分からず能力を使ってくる可能性だってある
「しかしまぁ、そんなにもう大丈夫だ」
ギルティが走っているとやがて森抜け、やがて大きな館前にたどり着いた
「…大きい」
「ここでお前は終わりだ!」
追手どもは手を上に突き出す形で構える
能力は見飽きた炎系統
その様子を呆然と見ていたギルティに焦ったミクはギルティに問いかける
「ちょっと…どうするの」
「まあ見といてくれ」
「死ねえぇぇぇぇ!!」
追手の火球がギルティに降り注ぐ
ここ一番の怒りのせいか、ギルティが見てきた集団の火球のなかで一番でかく、一番早いものだった。
「……え?」
「……はぁ?」
しかし、現実は非情である
理解するのに数秒を要した、追手たちが放った火球は無慈悲に音すら立てなくて小さくなり、やがて消えた
ギルティはミクの目元を手で隠した
「どうなっ」
追手の男たちの声はここで終わった
次にギルティが見たのは音もたてずに上半身と下半身が離れていく
気づけばというレベルの速度の斬撃である
これは剣でできるものはいない
「これはこれはギルティ君、ずいぶんと遅い帰りですね…心配しましたよぉ」
後ろから聞き覚えのある声をしたギルティは振り返る
目に映ったのはギルティの所属する最高責任者ラックス
【ラックス・ホルダー】の姿だった
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