第四話 ー不可思議な能力ー

「はぁ?」


この少女は何と言った…私を連れてってほしいと言ったのか?


「冗談でもその辺にしておけ…第一俺がそれを聞いて本当に連れていくと思うのか」


ここまで真意がわからなかった奴は初めて、まさか連続殺人鬼に助けを乞う奴がいるとはギルティも思わず失笑する


「…あなたは仕事人っぽい…だから私に利用価値があれば連れていく」


「それすなわち、お前には何かしらの利用価値があると自分でそう言いたいわけだ」


「…ある」


確かに、普通の少女であればまず連れて行かないが、こいつも何かしら能力を持っているとしたら…利用価値ありとして連れて行くが


「…お前の持っている能力はなんだ」


言葉に反応しない目の前の少女にギルティはまさかの可能性を考えたがまだ子供、自分の能力を自覚していなく、自在に操れる歳ではないこともある。しかしとギルティは追い打ちをかけるように言い放つ


「そこまで啖呵を切ったんだ。大層な能力をしていない限りはお前を連れていくことはできない。そうだな…俺がまだ見たことのない能力であるならば連れていくぞ」


こういってはなんだが、俺は依頼でどこにでも飛んで行っているため、世界のあらゆる能力を見てきた、その俺に見たことがない能力はないと言える


少し大人げなさを感じるギルティだが気にせず少女を見る

少女は未だ黙って動かない


「言葉で説明できないのならば実践だ、今ここで使ってみてくれ」


ギルティがそういうと少女は椅子から降り、近くにあった本棚から本を一冊取り出して、机の上に置いた。少女は以上は何も言わなくなった


「…ふむ」


目の前に差し出された本の真相を考えていると、先に少女の方から本を開くジェスチャーをした


「最初からそう言え」


ギルティはどんどんページを捲っていく

いたって普通の本、本というよりかは何かの日記帳といった感じだ


「これが何なのだ?お前の能力がこれではまるっきりわからないぞ」


そういうと少女は俺が捲っていた本を無理やりな形で取り、自分が見てほしい本のページにありつくとそのページを開き、こちらに見せつけるように突き出した


「だからこの本が一体なんだってん…」


ギルティの言葉はそこで潰えた

その本に書いてあった不可思議なことにギルティは思わず本内容を読み上げた


【連続殺人鬼ギルティは名もなき貧民街に依頼があってやってくる。そのまま崩れやすい床によって馬鹿集団に見つかり依頼は一時失敗】


「…これは」


ギルティはこの本に書いてあることに多少だが恐怖を見せた

それは間違いなく、今日ギルティに降りかかった出来事ととても似ていたからだ


ギルティが固まっていると少女は次のページを捲りまたもや見せつけてきた


【ギルティは追手の攻撃を対処するがやがて追手の攻撃に当たり絶体絶命、路地裏にはいてきたところを私に助けられる】


「!貸せ!」


ギルティはたまらず少女から本を取り上げ焦った手つきで次のページを捲る

その次も、その次も…


【ギルティは私の部屋にはいるが椅子に座らないが話をした少し話をした後は意外と早く座ってくれた】


【私の能力に多少勘付いたギルティは無理やり本を取り出し焦った手つきで捲る】


まったくの同じ

少し前の出来事なら何化すればできそうなもの、しかし最後に見せた文は完全に今のギルティを予言していた


ギルティは反射的に少女の方を向き尋ねた


「お前の能力は…未来予知か何かなのか」


「……」


少女はゆっくりと、操られている人形のようにゆっくりと頷いた。


「…まじかよ」


今までいろいろな能力を持っている奴を見た

火や水、土を操る大々的な能力、身体能力強化…壁に張り付く、鋭物の切れ味を高める少し特殊な能力まで幅広く見てきたギルティでもこの能力は…


文字通り、ギルティでさえも初めて出会った能力であったのだ


「…それは偶然」


黙っていると、先ほどまで静かにしていた少女が逆に口を開いた


「それはたまたまうまくいった…いつもそうなるとは限らない」


「…お前の能力には成功率にムラがあるという事か」


「ん…それで、連れていく気になった?私を…利用価値があると思った?」


ギルティは不確定な確率にはなるべく踏み込まない男である。この少女の能力が未来予知的な何かだとしてその成功率にムラがあるようでは、本当にいつか大事にな時に未来予知が失敗すれば…俺は致命傷を負うことになる


「それに言った。見たことがない能力じゃないと連れていくことはできない…逆に言えば見たことがない能力を持っていれば連れていくことができるってことになる…」


「…だが」


「嘘つくんだ、いいおとなが子供に言い負かされて恥ずかしくない?」


「…ふぅ」


落ち着けとギルティは自分自身をなだめる

相手は子供、だからって言い負かされることに何も恥じるべきことじゃない

約束は守るしかない…


「どう?早く決めないと…」


「ちょっとまて、それを決めるには実践というのがあるだろう」


手を前に出し少女に一度と待ってもらう


「その本に書いてある通り俺は依頼を一回失敗している。まだ依頼を完遂していないんだ。だから明日、お雨の能力を使いもう一度依頼に向かう、その時に判断しようと思う」


「……いいよ」


「ならさっさとこの本に予言を書いてくれ、俺はそれまで休む」


「本は書かない」


「は?」


少女からとんでもない事を言われるギルティは

「なんで」、という前に少女が先に言葉を紡いだ


「それはあなたがいった実践には大きくかけ離れてる…明日、私を信じてついてきてほしい」


「…失敗したらお前のせいだからな」


「…うん」


正直不安で仕方がないが…あぁ上になんていおうかギルティは考えながら眠ってしまった






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