第三話 ー少女の真意ー

少女の後ろをついて行き、やがて行き着いた先は小さな家であった。


部屋の前に到着した後、こちらに「入って」と言わんばかりにジェスチャーをした少女は中に入っていった、警戒心は解かない。恐る恐る中に入るとやはり普通の部屋。

本棚があり、机があり、椅子がある。最低限大人一人が飲み食いして就寝できるぐらいは余裕でできそうな広さ…要約するとまぁまぁ広い


それよりも…とギルティは目の前にいる少女について考える


この少女は一体何者…そしてこの隠し部屋…ギルティは世界に追われている世界的な殺人鬼とされている男、なのに何故目の前の少女は平然を保っていられる?


様々なことに思考を飛ばしているギルティに対して少女はただ静かに目の前に座って何かを吟味しているようにこちらを見つめていた


「…座ってもいいよ」


少女はぼやくように言った


「それは無理だ」


「…なんで?」


「お前が追手である可能性をまだ捨てきれてないからだ」


もしも少女が追手である場合、ギルティは絶望的な状況、そもそもあそこで偶然現れるというのがおかしな話だ、待ち伏せをしていてこちらを助け信用を煽り、何か薬を盛られ最後に追手全員で捕まえる


今起こりうる中で最も最悪な状況ができしまう、それに座っていたら襲撃に立ち上がるという動作が生まれ、一段階遅くなるそれはこの世界において致命的だ


「私は追手じゃない。そもそもそんなのに興味ない」


「口で言うのは簡単だ」


「だが…」とギルティは続けた


「いくらお前が追手だったとしても追手ではなかったとしても、この場所に連れてきてくれて感謝する。おかげでだいぶ休めた」


「だから追手じゃない…居たいのだったら飽きるまでいていい」


「あぁ…さて、じゃあ質問いいか」


よっこらせと椅子に座ったギルティに少女は困惑した表情を浮かべ問いただした


「…さっきといっていることやっていることが違う…追手かもしれない」


「さっきまではあんなに否定していたのにいいのか。まあ?仮に追手だったとしてお前なら座っていても簡単に対処できる」


若干嫌味ぽくいうギルティだがまるっきり皮肉が通用していなかった少女は

「信用してくれた」と少しうれしそうな表情を見せたのでギルティは少し申し訳ない気持ちになったが、それとこれとは話が別…


ギルティは少女に質問を投げかけた


「まず聞きたい…この場所はなんなんだ」


とにかく一番最初に聞きたいのはそれだった。

路地裏に消えていったは一体何だったのか

ギルティには不可解な出来事であったからだ


「…わからない」


しかし、少女は出した答えはギルティの求めていた答えとは全くの別であった


「おいおい…わからないって、ここはお前が住んでいる場所じゃないのか?」


「ここは私の住んでいる場所…それはあってる」


自分の生んでいる場所が何なのかわからない?どういうことだ?とギルティが考えていると少女は意図をくみ取ったように話し出す


「この場所は偶然見つけた…本当にたまたま」


「…信じがたいがそういうことにしておいてやろう」


そもそも俺をこの場所に連れてきた時点で、存在は明らかになっている

わざわざ隠す必要があるかと言われればそうというわけでもないだろうしな


「じゃあ次の質問だ、俺のことを知っているか?」


少女はコクッと頷いた後、言葉を続けた


「世界からとっても危ない人と言われている連続殺人鬼…」


「…ふむ」


大体合っていることを確認したギルティは知っているからこその不自然を指摘する


「存在を知っていてなぜこの場所を教えた。

お前は自分が殺される可能性を考えなかったのか」


「…考えた…けど殺さなかった」


「まだ殺してないだけかもしれないぞ」


「…殺すならいつでも殺せた」


「……」


ふぅ息を吐き椅子の背もたれに寄りかかるギルティは天井を見上げた


動きに不自然さはない

飲み物も出さないとなるとその中に毒が入っている事根本的にない


なら本当に善意?それでも目的が掴めなかったギルティは少女に問う


「何かして欲しいのか?」


「……」


少女は黙ったままじっとこちらを見ている


「…私を連れてって欲しい、この場所から、この街から」


「…はぁ?」

















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