第二話 能力世界の謎の少女
俺の逃走経路の後ろをついて来るように追手のやつらは向かってくる
こちらはワイヤーを使っている分、幾分か優位に立てている
いくら数を多くしたところで接敵しなければどうということでもないが、それは接敵しなければの話に限る
「待ちやがれぇぇ!!」
追手の男たちは腕を上に突き上げる
「…能力者か」
やはりと言うべきか。とギルティは後ろの追手に視線を飛ばした
この世界には能力が存在する。能力が発現するのは生まれた瞬間や11歳ぐらいか、はたまた20歳かと法則性が全くの皆無だがいまやほとんどの人間が能力を何かしら持っている。今持っていなければまだ発現していないだけ、裏を返せばまったくの無能力者はとても珍しいと言われる
男が突き上げた腕には手のひらサイズの小さな火球が顕現する
他の追手の同様に小さな手のひらサイズの火球が顕現する
能力者の仲間を火を使う奴らだけに絞ったか…いい判断だ
もしここに火ではなく水を扱う能力者を入れれば炎の性質と完全に打ち消しあってしまうだろう
「死にやがれ!!!」
追手から放たれた火球はコントロールよくギルティの方へ向かっていく
こちらに三、次に使えそうな着地地点に四。
飛んでくる火球に対して冷静に屋根を大きく踏み込み空中に舞い、背中の銃を抜き狙いを定める
冷静に…シューティングゲームをするように…
「ふぅ…」
一点…二点…三点、すべてを撃ち落としたギルティは素早く銃を背中に収め、着地後、前向いて駆け出す
「なんなんだあいつの黒銃は!?なんで能力がかき消される!?」
「無駄口をたたくな!今はあいつに能力を使いまくれ!!」
追手は言われるがまま再度能力を使う
先ほどよりも大きくそして威力がありそうな火球がギルティに向けられる
「厄介だな」
「はぁ!?」
ギルティは先ほどのように大きくは踏み込まずそのまま黒銃を抜き、ノールックで放たれる前の火球を撃ち落とした
飛んでいるならまだしも手にまだ残っている火球を撃ち落とすなどギルティにとって造作もなかった
「まだいけ!うて、打ちまくれ!」
追手は自分たちの能力の尽力するがそれでもギルティは冷静に、それしか見えていないように正確無比は命中度で撃ち落としていく、下手な鉄砲も最高の銃使いの前ではなす術もない。しかし…
「クッ…」
「スピードが落ちた!ありゃ当たったぞ!」
「打ちまくれ!打ちまくれ!」という声を無視して
痛みのあった部位にギルティは目を向ける
流石の量の火球はギルティの横腹をかすめていたかすったとしてもこの威力。ただの馬鹿集団ではないようだ
後先考えずに能力を使っている輩を相手にしたことがないギルティは予想外の出来事にバランスを崩し地に降りた
「いけ、やれる!俺たちが捕まえるぞ!危険度Sのギルティを!」
地面から走っていた五人の追手も近くまで迫ってきた。
これはまずいと思いワイヤーで地面をすべるようにギルティは路地裏の中に姿を消した。
「…どうする」
下からは追手、上からは火の能力使い、下の追手何かしらの能力を持っているだろう
絶体絶命を悟ったギルティは頭を悩ませた
一度引く?いやそれでは依頼が…
とにかくここじゃ死ねない…俺には使命がある…それを完遂するまでは決して死ねない。死んでたまるか
その時、路地裏に入っていったギルティの前に一人の少女が現れた。
ぶつかる寸前で体を跳ね上げ、ギリギリで回避。少女に警戒を飛ばす
身の丈に合わないフードをかぶっていてよく見えないが小さい少女だということはなぜかわかる
「誰だ、追手か?」
少女に問いかける。見た目的にも追手ではないように見えるが追手ならばここでやるしかない
「…来て」
少女は端的に言うと路地裏の壁の方に消えていった
「…は?」
完全に警戒していたギルティには予想外の出来事に困惑した声を漏らした
目の前に起きている現象を理解しようと必死に頭を働かせるが何が起きたのか何もわからなかったギルティだが、追手の目はすぐそこまで来ている。ギルティには中がどうなっていようが少女を信じて路地裏の壁に歩みを進めるほかなかった
この少女は一体何なのだ
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