第一話 ー連続殺人鬼ー

「おい、そっちはどうだ!居たか?!」


「いやいなかった!こっちじゃない!」


「本当によく見たんだろうな!見つからなかったら俺たちどうなるかわからねぇ!」


「見たっつってんだろ!お前こそよく見たんだろうな!」


「はぁ!?よく見てるっつの!」


…しくじった


男たちの罵詈雑言を片耳にため息をつく。

今は追手を撒いて休めているが、あまりの追っての数に動けない状況にあった


本来ならばれることはまずない屋上や屋根を丁寧にわたっていたが、なぜか俺の渡っていた屋根が偶然抜け、男たちの前に姿を現してしまったのだ


「居たぞ!ギルティだ!こっちにもっと来い!」


あまりにも追手が多すぎることに頭を悩ませていると、横からの大声で大勢の

追手がギルティ周辺に集まり始めるだろう

やれここまでかと短い休憩を取ったギルティは重い腰を上げ声を張り上げた男に

視線をやる、中年ぐらいの男性だがその腕は鉄パイプさえへし折ることができそうな腕だ


「おいギルティさんよぉ…ここで投降してくれるなら命まではとらねぇぜ?俺たちの目的はお前を殺すことじゃないんだからなぁ」


「……」


「だが、もし投降せず俺たちに抵抗するってんなら、それ相応の覚悟は容赦してくれねぇとなぁ?」


男は懐にしまってあったナイフを見せつけるように取り出し、ギルティに交渉をした

ギルティは無言のままじっと男を観察したあと、小さく口を開いた


「…なぜ投降する必要がある」


「…はぁ?」


「もう一度言おう、なぜ投降する必要があると言っている」


ギルティの言葉に男は呆れた表情をしてギルティに応答した


「はぁ…わからねぇか?仮にここで俺を倒せたとしても今も仲間はこっちに向かってきてる。その数30人越え、いくらおまえの力がすごいからって数には勝てねぇ…お前がここを生き延びる道は投降しかないんだよ、死にたくはねえだろ?理解できたか?」


「…そうか」


ギルティは両手を指先を空に向けて、腕を若干上げた、文字通りそれは投降のジェスチャー、男はやっとかと大きなため息をつくとギルティの方に近づいた


「あぁ、最初からそうしてくれれば面倒くさいことも話さずによかったのによ」


「…一ついいか」


「あぁ?んだよ」


「なぜナイフを見せた時、俺を殺そうとしなかった?」


「…何言ってんだ?お前」


「答えろ、何故俺を殺そうとしなかった」


男はギルティの問いの真意が分からないまま自分の思うがままに答える


「お前はもう絶体絶命なんだからここで俺がやるのは時間稼ぎで仲間を待つだけだと思ったから、こんなこと聞いて何になる」


「…そうか、では一つ教えておこう」


「さっきからうるせぇぞ!もう黙れお前!」


男はたまらずナイフを取り出し、ギルティの首元に突き立てるが、ギルティは男の声を無視して言葉をつづけた


「殺せるときに殺さないといつか痛い目を見るぞ」


「だから!うるせぇって言ってんだろ!」


頭に血が上った男はたまらずギルティの喉元にナイフを振るう

ナイフが当たる寸前、男は少し身をよじって一寸先のナイフを回避、

大振りの腕から生まれた大きな隙に迷いなく顔面に回し蹴りを入れ込まれた男は大きく前に吹っ飛んだ


「こんな風に…聞いてないか」


「おいここだ!ここにいるぞ!」


追手が来たことを確認しては近くにある遮蔽物を利用して一息で屋根に上がったギルティは追手の状況を確認する


「下に5…屋根に7か」


そこまで追手の人数が多くないことに内心ほっとしたギルティは奴らと逆方向

に走り始めた

今更だが、30人越えはハッタリであったか


「さて…こっから頑張りますか」














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