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るつぺる

再会、慟哭、劣情

 ハンバーガーが美味いってのは今に始まった話じゃない。やれファストフードだのやれジャンキーだのと煙たがってる奴らもほんとはみんな好きなんだ。肉厚なパテにとろりと流れたマグマみたいなチーズ。顎が外れそうになりながら歯がバンズに当たった瞬間始まるんだ。幸せってやつがね。そんなことを考えてた。やはり追い込まれた時はそうやって幸せについて考えたいだろ。とはいえ俺の幸せがパン二枚に挟まる代物だってんならそいつぁおちゃらけだ。今、俺は自分が働いてるオフィスに閉じこもってる。このビルは占拠された。誰にだと思う? 聞いて驚けよ、エイリアンさ。おい、そこのお前! 今俺のことを嘘つきだと思ったろ。なら見せてやる、コイツだ。ガァオ……どうだ、グロテスクだろ。消化器でぶん殴ったらくたばった。ざまあみろだ。だけどエイリアンはこの一匹じゃねえ。ここは五階建てのビルで今俺は五階にいて、さっき少し確認したら四階はもうダメだった。だったらその下もダメだろうよ。俺に鳥みたいな翼があれば逃げ場もあるってわけだがそうはイカの金玉クラッカーだ。俺は人間で、アイツらはエイリアン。さてどうする俺。いつまでもここにいたってジリ貧だろ。テレビでも見るか? あーはいはい、わかってるそんな場合でもねえよな。落ち着けアントニオ・バンデラスの生まれ変わりでジョージ・クルーニーの従兄弟だろ俺は。若い俳優はダメだ。育ちの良さが顔に出てる。ガキの乳飲みには興味ないんだよ、そうだろブラザー。おっとそんなことくっちゃべってたらさあさあお出ましだ。奴らの足音、いやアレは なんだ その 赤ちゃんに履かせるプゥプゥ鳴るやかましいサンダルみたいな音だ。間抜けだがさっき見たろ? 図体はバケモンのそれさ。さあさあアントニオクルーニー! 使える武器は消化器、それから おっとこいつぁ……傑作だ。ハンバーガーの神よ! お恵みありがとうございます! アーメンキッス ンンマッ! ハンバーガーが美味いってのは今に始まった話じゃない。そいつと同じくらい当たり前なのがこのハンドスチーマー! ご覧の通り、かけたままの服でもこうやってスッ スッ スッ ほーらこのとおり婆さんの首筋だったシャツが湯上がり卵肌だ! おい! お前らも来い! なんてなアチチチチチチチチジュウウウウッとまあこのとおりエイリアン一〇〇パーセントのビッグパテの出来上がりってわけさ奴らのドタマにコイツで焼鏝喰らわすにゃもってこいってわけチキショウがあ! このユーティリティあふれるハンドスチーマー、今なら百八十ドルのお手頃価格! お前ら、エイリアン退治の準備は出来てるか? 頼んだぜ!

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