神と殴り合おう③
狼といろいろと話した後、時間的に怪しくなってきたので帰宅する。
「ただいまー」
「お帰りー」
玄関を開け歩いて行くと、キッチンにて母さんが晩御飯の準備をしていた。
周囲を軽く見回すが父さんがいない。
「父さんどこかに行ったの?」
「あー、さっき地震が起きたって村人が騒いでいたから、近所の様子とか見に行ってるんじゃない?」
「へー」
少し気まずくなった俺は、二階へと上がる。
(すいません村人の皆さん。地震発生の原因は俺です…)
心の中で村人へ謝罪した。
自室に戻った俺はすぐに魔法を展開する。
展開した魔法は盗聴、覗き見対策になる空間魔法『空間固定』だ。
狼戦でも使ったが、この魔法はその名の通り空間を固定する魔法だ。固定された空間の中では、いかなる空間干渉系魔法も通用しなくなる。
「どれどれ、あ」
ここで俺はやらかしたことに気づいた。
「空間固定したら異空間収納使えないじゃん」
ということで一回解除し、空間魔法『異空間収納』を使用し、中から狼さんからいただいたアイテムを出す。
そして、再度空間固定を発動。
ゆっくりとアイテムを確認していく。
「えっと、まずはこれなんだろう?」
まず、手に取ったものは木でできた日本刀だった。
(え?なぜに木?そういえば、狼がこれ俺にくれる際になんか言ってたな…)
たしか、『神晶樹でできた刀は、そのまま使えばただの木刀にすぎない。神力を流すことでその刀は化ける。万物を切り裂く刀となるだろう。それと一つだけ。その神晶樹の刀は我ら神獣がこの世界に来る前より、この場所にあったものだ。おそらく神器の類であるのだろうが、その力は我ら神獣にも測ることができなかった。まあ、貴様なら使いこなせるのだろう』と。
(ああ、完全に思い出した)
これは今度試すとして他のものを見よう。
次に手に取ったものは、綺麗な宝石のようなものだった。これは確か壊魔石といったな。
魔法を壊す石。魔法使いの天敵になれそうなアイテムだ。
その後も俺は次々とアイテムを見ていった。
神晶樹が少し、神狼の毛、神狼の角…全部貴重そうなアイテムばかりだ。
(…まてよ?これは…)
アイテムを物色していくうちに、俺は素晴らしいことを思いついた。
狼との闘いから約2年が経過した。
俺の現在の年齢は10歳。
今までの2年間、俺は新たなる技術の習得に挑戦していた。
その技術、それは魔道具制作だ。
狼に貰った貴重アイテムは実に素晴らしいものだった。だから見た瞬間に最高のアイテムを…魔道具を作りたくなった。
だが、職人を頼ろうにも親の目がある。ならばどうする?自分の手で作ってしまえばいいのだ。
だが、それを実行するには問題があった。
それは、俺に魔道具制作の知識がろくにないことだ。そんな状態で最高の魔道具が作れるわけがない。だから俺は夜に近場の町などに足を運び、魔道具制作職人的な人達の資料などなどを盗…借りたのだ。
その結果、俺は自分でも納得のできる魔道具を作り出せるようになった。
正直、1年目でそこそこのレベルの道具は作れるようになっていたのだが、ついつい夢中になってしまって、プラス1年技術を磨いていた。
おかげさまでこの世界で魔道具製作者のトップに立てるぐらいの自信がついた。
今回作成した魔道具の数は3つ。まだまだ狼からもらった素材はある。一気に全部消費してももったいない気がしたので3つだけ魔道具を作成したのだ。
(早速、機能を試してみたいのだが……そのためには、敵を見つけないとな)
俺は悪い笑みを浮かべた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます