転生しました②

 異世界に転生し数年の時が過ぎた。


「母さん父さん、少し外で友達と遊んでくる」

「はーい」

「気をつけろよ」


 俺は家の玄関を飛び出し、外を走る。

 現在、俺は8歳。元気に外でお友達と遊ぶ年齢だ。もちろん、ちゃんとした存在しない友達だ。

 

 俺の生まれたここはラール村という人口が少なく、近くには町などもないまさにTHE田舎な場所だ。

 個人的に、田舎はそれほど嫌いじゃない。

 なにせ、人が少ないから隠し事とかに苦労しない。ちなみに俺の隠し事というのは魔法の練習だ。

 生まれてすぐ、前世の知識のおかげで俺は魔力の扱い方をほぼ完全に理解することができた。

 そして、魔力を扱い数か月でこの世界の魔力は本当に万能だ。と、つくづく実感した。

 目に魔力を通せば、視力が上がり魔力を視認することができる。耳に通せば、聴力が良くなる。体全体に通せば、身体能力が向上する。

 身体強化のおかげで、この年で前世での俺の足より速い。家からある程度距離をとることに苦労することはない。


(ここまで来たら使って良いだろう)


 家から離れた場所で止まった俺は、足に魔力を集中させ魔法を使用する。

 使用する魔法は風魔法『ジェット』。風を噴出する風魔法。この魔法は便利で、移動速度の上昇や飛行にすら使える。

 もちろん、空を飛ぶとなるとそれなりに魔力が必要になってくるため、常人には不可能に近いのだが…まあ、俺は大丈夫だ。

 幼いころから魔力の総量を増やすため、練習をしていたおかげで魔力の総量はそこらにいるような魔法師の数百倍以上はある。

 魔力の総量の増やし方も異世界アニメ同様、魔力切れ寸前まで魔力を使う。それだけだ。


 空を飛び、数分が経過した。目的地に到達した俺は、ゆっくりと着地する。

 ここは森の中、まあ森と言っても普通の森ではない。ここは『ウルガナム大森林』という、この世界では危険な場所として認知されている。

 俺にとって深くまでいかなければ特に危険とは思わない。

 すでに数百回とこの森に足を踏み入れ、地形を理解しているのもあるが、魔物がそこまで強くないのだ。


「さっそくか…1、2…、4体」


 探知系の魔法を展開しているため、俺に近づいてくる生命体は大体わかる。今回、俺に近づいてきているのは、ハイウルフという地球で言うところの狼的な魔獣だ。

 

「とりまサクッとやっちゃいますか」


 魔法によって周囲に水の塊を生成する。

 水魔法『スプラッシュ』。周囲に水を撒き散らす魔法。魔力をこめる量によっては、鉄なども貫通する威力になるという低コスト高威力の便利魔法だ。

 俺は手を魔獣たちがいる方向へ出した。

 次の瞬間、周囲にあった水の塊はものすごい勢いで飛んでいく。

 そして魔獣に当たる寸前に拡散し、魔獣の体は穴だらけになった。


「うわーグロいっちゃグロいね」


 自分でやってなんだが、引いた。

 

(魔法はこの1ヶ月でほぼ全て試したし、そろそろボス戦いっても良さそうだな)


 そう考えた俺は上機嫌で森の奥へと足を運んだ。

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