第38話
こんな重い話、どうすればいい。
医師が、失礼、と入室してきた。ここだけは自動ドアじゃない。
今回ばかりは帰れますよ。
「貴女は何を知っているんですか?」
この異世界での、洗濯のハンガーの説明1つでも戸惑い、あとからボタン外してくださいとか、洗濯物よくみせてください、って言えばよかった。とか。またあるときは、なんだっけ、ロマンス小説の表紙を隠す方法、そこから派生した新しい物語。引っ越し。鞄屋。色々あって、雨合羽さえ、妖怪信仰に驚き、あとはなんだろう、魔法、魔術、法術、決死の覚悟の告白。あとは、なんだ。牢屋。あれも、特殊だ。バグかもしれない。なんとか脱獄と、鍵屋さんごめんなさい。でも本当に表札作ったり鍵作りしたり、私の街のホームセンターにはあった頃が、あったんです。頑張って、私はいろんな商品知識を披露してきたではないか。林檎の芯抜きは買わないけれども便利だと思う。
色んなことを思いながら異世界でテレパシーに目覚めた、とある症状のあるという女性を見る。
無感動だ。
今回ばかりは、私にできる開運知識サービスはないわけで。100均もホームセンターも、今の彼女には必要ない。
「お墓はどちらに建てるんです?」
医師が動揺した
家族を亡くしたばかりのご遺族には、早すぎたか。もっと葬儀の時とかに聞くものかな。
女性が不思議がる。
貴女の声が急に聞こえなくなったわ?
それは、私が。
私のペースに戻ったからだ。
「生花を用意するのもたいへんですよね。でも、故人の好きな花を用意してあげたいですね」
何を言っているの。このご時世。
コロナで人は、すぐに焼かれるか、溶かされるかで消えるのに。
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