第39話

「コロナ?」

 私は、なんだか、難解な。遠くの字でも見るような目でんん?と考え込む。

 ころな、ころな。

 ころな。

 チョココロネが浮かんだ。

 しかし会話の流れからして。

「お医者さん、」


だいじょうぶ、貴女はかかりません。そういう、世界の亜種ですね。


 なんだろう。どこまでも種族だ。


「お写真は飾らないんですか?それともプロジェクター?映像で故人を偲ぶのでしょうか」

 女性は久しぶりに人と話すように、


そう、でも、なにかしら。まだ何も考えていないような。そうするしかないと思っていたような。お写真・・・・・・お写真。

 

 まさか、写真や肖像画が、

「写真立てですね。」

 結論を出した。造花じゃない。べつに好きな花の作り物を永遠に枯らすことなく飾ったっていいけれど。

 医師がどこか納得したような顔をして、口の端を、ギュッと力を入れて話を聞いている。

 本当はこの人もテレパシーができる過去人の、未来人の、異世界人なんじゃないかな。

「写真立ては知ってるんですよね」


思い出そうとしているわ。


年齢不詳の女性が口元に手を当て、考え込んでいる。


ヒントは?


「木の枠。あるいは陶器。真中に写真」


ああ!


 女性は思い当たったらしい。

 

陶器でしたら、花瓶のあるこの世界にもあります。注射器に使うような丈夫な素材も、細い針を作る繊細な技術も。


 医師が少し嬉しそうに、穏やかに話す。

 女性が答えた。

 

自分で作りたいわ。だって。


ずっと私、手元に何かを置いて、悲しみたかったんですもの


プロジェクターの流れる映像を見ながら、1人の一生を流し見ながら、女性は




 

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