第35話
貴女はどちらからいらっしゃいましたか?
私は迷う。なぜなら。目の前にいる人たちは日本人に見えるからだ。髪色や種族の特別な世界にも行ったことがある私が、最後に辿り着いたのは。
「今は何年ですか」
それはお答えできません。
医師は秘密めいて優しげにいう。意地悪とは思わない。
「たくさん喋りましたけど、ひとの話を聞いて疲れませんか?」
これには面食らって、1秒よりはやく、
楽しいです、貴女の話は。だって貴女は。
私達の、大事な過去なのですから
「では、私はこれからあなた方の未来になんの貢献もできなかった、1人の18歳で、今回はここの過去人ということですか」
落胆した。大事な過去。私の話が楽しい。
優しくないわけじゃない。
白々しいわけじゃない。
学術的な面で、貴女を観察しようとか、残念な、辛い気持ちにさせようとは、一切思いません。
医師は、
空中透明カルテをスワイプしてみせた。
ただ、このあらゆる世界の人々が集った世界に、貴女だけの感想と、知識と、知恵と、忍耐と、情熱をください。
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