第17話
「私は全くの素人なんです」
正直に言った。
「だから、ですから、なにか私がすべきことがあるならむしろ教えていただきたいんです」
正直も、素直も、武器で、賢くて、利口な手口だ。しかし鞄屋の3人は困っている。
困っている?
「困っていることや、悩んでいることはありませんか?」
あなたが、当店から、その、お帰りにならないことでしょうか
帰れ、って思われている?
本当の身分を明かしてください。貴女は、どういう方なんです!
太った店主が前に出てきた。
見たところ、私と同郷のかただ
髪色が同じだけですね。
見ればみんな瞳の色もさまざまで。落ち着いた照明の元、ひたすら小さくも老舗な高級鞄店に監禁めいた状態にあっている。
帰れるのか、これは。
「魔法で、万引き対策も、バッチリ・・・・・・」
店の3人が息を飲む。
魔法など、そんな自然はもう起こり得ない。あるのはただ、魔術と法術ッ、ではないですか
控えめに訂正してくる。また知らない単語だなあ。お坊さんの使う法術とか、もしくは
ほう?
「法律、ですか?」
私の質問にいよいよこの人はおかしいというように訝しみながら、勿論、と答えてくる。
「実は、とても田舎者でして、この世の論理、成り立ち、全てに詳しくないのです」虚しげに、私は語ってみせたが、さすがに種族の子は同情してくれない。むしろ常識を知っている自分を強く感じ、私に怒っているような感情を体現する。
桜色の髪の女性はなんとかこの状況を解決したそうだ。
店主は、それでも、困惑しながら。
それでは、貴女に発令されるこの魔術依頼、あるいは命令は何を意味します。
戸惑うのは私のほうだが、もうこうなったらずっと気になっていた失礼なことを聞くしかない。
「単刀直入に聞きます。このお店実際のところ」
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