俺は疲弊してしまった。

夕日ゆうや

過労死

 友人の輪っかを広げようと俺はもがいていた。

 SNS。そこだけが俺のいる場所。全て。

 リアルの友人関係にはほとほと疲れ切っていた。

 職場で二十九の小娘の小林こばやしが言い寄ってきて、その小林を好きな上司からは毎日いびられる。

 俺が頑張ってあげた成果を上司がかすめとるばかりか、俺を窓際族に追いやって、今は心療内科に通っている。

 もう嫌だ。疲れ切ってしまっている。

 疲弊した心では仕事もままならない。

 そんな俺を小林は見放した。小林は誰構わず気の多い人だったらしい。好きにならなくて良かったと思っている。でも精神的な支えがない俺は一人、部屋に閉じこもることが増えた。

 そんな中、SNSだけが自分の居場所になっていた。

 苛立ちからニュースに怒りのコメントを残した。

 芸能人の不倫。

 それが身近なことに感じて、ついコメントしてしまった。

 だが、ネットの友人は所詮ネットの関係だった。

『いいすぎじゃね?』

『なにこいつ、キモいんですけどwww』

『何ぶち切れてんの? 詳細求む』

 ネットでは毎日のように叩かれている。

 俺の気持ちなど知らずに。

 そうして友人を失ってしまった今、俺は薬だけが頼りだった。

 それがここ最近のできごと。

 俺は自宅のアパートで倒れた。

 過労死だ。

 頑張りすぎたのだ。

 俺はもうあの血肉の世界には戻れない。

 でも未練はない――。

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