プロローグ2
『どんな力が欲しい? 一応私の世界は定番の剣と魔法が飛び交う世界よ? 私のおすすめはやっぱり魔ほぎゃ! 』
意気揚々と駄女神クレアティオ(長いからこれからはクレアと呼ぼう)は俺のこれからについて話し続けていると、何処からかスパンとスリッパで叩かれたような音とクレアの小さな悲鳴が聞こえた。すると今度はクレアの小さな呻き声が聞こえてくる。
『あなたはまたなんて事をしでかしてんですか。』
美しい声音なのにしっかりとした怒りの感情が感じ取れる声が響く。何も悪い事をしていない俺まで恐怖を感じてしまう。
『痛いじゃない! 誰よ私の頭をスリッパで叩いたのは!』
『私ですがなにか? 』
『、、、、、、何でもございません』
『えー、生田晴さんでお間違いないですね? 』
「は、はい生田晴と申します! 」
恐怖のあまり思わず吃ってしまった。
『ふふ、それほど緊張しなくても大丈夫ですよ』
先程とは打って変わって優しげな声が返ってくる。どうやら怒りの矛先は駄女神ことクレアにのみ向いてるらしい。内心かなり安堵していたのは黙っておこう。
『うちの駄女神がご迷惑お掛けして申し訳ございません。私は不本意ながらこの馬鹿の秘書兼従属神のまとめ役を行なっております太陽神のバステトと申します』
「これはご丁寧にどうも、生田晴といいます」
『この度はこの駄女神が輪廻の輪に戻る筈だった貴方の魂を、無理矢理私共の世界に引き抜いたため、貴方を元の世界に戻せなくなってしまいました』
「どうしても戻せないのでしょうか」
『無理矢理押し込む事は出来るのですが、貴方の存在が一度なくなってから、元の世界で再構成されるため、何が起こるかわからないためおすすめはしません』
怖い事をさらりと言われてしまったが、一度存在がなくなるって言われてやりますとは言えない。
「なるほど、なら元の世界は諦めた方が良さそうですね」
『それが懸命かと思います』
『だからな転生の特典として幾つかチートスキルあげるって言ってんじゃんか』
『そういう問題ではないでしよう!』
今まで沈黙していたクレアは一瞬復活したのち、またも失言してしまったため、バステト様にスリッパで叩かれていた。懲りないのだろうか。
『この駄女神、何度言ったらわかるんですか、思いつきで行動するな、他人に迷惑をかけるな、いつも言ってますよね』
『だって暇だったんだもん! それにあんなどこのラノベだよって言いたくなるほどのテンプレ展開見逃せないじゃんか! それに転生させてあげるんだからあの子だってお得だもん!』
『だからと言って本人の確認もせず勝手に連れて来て、勝手にこれからのことを決められた彼の身にもなってみなさい!それに彼だけではありません、地球の神からも苦情が届いてます。 その処理は誰がすると思ってるんですか』
みんなこの駄女神に苦労させられているのがなんとなく理解できてしまうほど、バステト様の言葉からは疲労がうかがえていまう。
『はぁ、駄女神の説教は後にしてまずは晴さんの話を進めましょう、何かしたい事などはありませんか?出来るだけご希望に沿わせて頂きたいと考えているのですが』
『......私悪くないもん』
クレアが何か呟いているが、誰も反応しない。そして、この転生には特に使命などは無いそうだ。だったら生前できなかったツーリングで異世界を旅するのはありかもしれない。
「えっと、一応やってみたい事は出来たんですが」
『よかったら言ってみて下さい』
「出来ればていいのですが、愛車で異世界を旅してみたいです」
『なるほど、愛車というのはこの自動二輪車のことですか?』
そう言って、バステト様は真っ白な空間に俺の愛車を映し出しす。それは紛れもなく俺の愛したバイクのハーレーダビットソンだった。
「そうです!これです!」
『なるほど、少し改造させていただいても良ければ大丈夫ですよ』
「ほんとですか!あ、でも改造っていうのはどういう」
『それは動力の部分や晴さん以外が使えないようになどです、なので外見などはそのままになりますよ』
なるほど確かにガソリンとかは無さそうだし、寧ろありがたいことだ。
「なるほど、問題ないですね」
『では、ついでに旅に有用そうなスキルを幾つかプレゼント致しますね』
何だろう、至れり尽くせりで、姿は見えないのに神々しい何かを感じる。きっとこれが神様という物なのだろう。間違ってもクレアからは感じないものだ。
『ではあまりこの世界に魂だけの状態でいるのはよくありませんので、我々の世界にお送り致しますね、出来るだけ幸せな人生を送れるように致しますので、人生を楽しんで下さい』
「いろいろとお世話になりましたバステト様、精一杯次の人生では楽しく過ごそうと思います」
『はい、ではいってらっしゃいませ晴様、素晴らしい人生ならん事を』
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