翠玲という姫君の侍女をしている雨雨。
彼女は戦略家の一門に生まれ、戦のまっ只中を経験してきた。
その戦話がとてもおもしろく、雨雨の知恵と大胆さはお見事です。
後宮での雨雨の立ち振る舞いや観察力、知識には唸ってしまいます。
そんな聡明な雨雨なのですが、主人である翠玲の前ではちょっとたじたじ。翠玲に振り回されて狼狽える様は可愛らしくて、とても戦を経験してきた人には見えません。翠玲といると、雨雨は少女に戻るのかもしれません。
そしてこの翠玲と雨雨の関係は、実に不思議。
好きという感情がどのようなものなのか……二人の親密さにドキドキしてしまいます。
戦のある世の中。油断ならない後宮。複雑な人間関係。
そんな中で翠玲と雨雨の絆というのは、とても貴重で尊いものに思えます。
翠玲が後宮に入ったのち、どんなことが待っているのか。先の展開が楽しみです。