第18話 その後
ペルカを人質にとった十話子達は、ファイブを連れて城を脱出した。
そして城から十分に離れた後、人里離れた場所でペルカを開放し、長い間いた町を逃れることに決めた。
ネズは目覚めず、ノミトはまだ不可視状態。
十話子達の未来は、前途多難であった。
カガリ達は、悩んだ。
「とりあえず、他の国の勇者を訪ねてみるか」
「そにためにもまず、この国からでなければなりませんわねお兄様」
十話子はそれに提案を出す。
それなら、他の勇者に会いに行ってみたらどうかと。
その手がかりは、十話子が呼んだ書物の中に、わずかに残されていたためだ。
「では決まりですね。生きましょう皆さん」
「なるほど、ここから勇者たちの本当の物語は始まるってわけだな!」
「山田うるさい、こんな時まで前向きだし」
「ほんと筋金入りだし」
呆れる山田と女子たちの近くで、羽をふるわせるファイブがいた。
むずがるようなしぐさをするミニベアにシズが話しかける。
「中毒症状が完全に抜けたわけではありませんので、もう少し羽のしびれが残ると思います。私の治癒魔法を毎日かけてもこれが限界で、ごめんなさい」
ファイブは、シズをはげますようにぴょんととんだが、勢いをつけすぎたのかその場にひっくり返ってしまう。
それを助けたのは、ノミトだった。
しかし不可視状態なので、ミニベアが一人でに宙に浮かんでいるように見えた。
「ノミトさんの問題も早急に解決しないといけませんね」
十話子が、そこら辺にあった草を手にする。
それで草笛を作って、ノミトがいるらしき場所へ差し出した。
草笛はすぐに透明になった。
とりあえず当面は、それで簡単な意思疎通をはかろうという十話子の提案だった。
了承したように、何もない所からピュウと音が鳴る。
十話子達の前にはまだまだ問題が山積みだったが。
一つの困難を乗り越えた事で、厳しいこの世界で生きていく覚悟を固めたのだった。
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