第14話 携帯とほかの勇者について



 目線「ホノカ」 場所「私室」


 英雄の証について、王女が詳しく説明した、その日の夜。


 ホノカは、携帯が通じていることに気がついた。


「えっ、ここは異世界なのに? 一体どうして」


 異世界に召喚された日の事。

 ホノカは携帯を持って登校していた。


 普通は携帯を持って学校へ投登校してはいけなかったが、その日は偶然持っていってしまったのだ。


 ホノカとカガリの家は、ちょっとしたお金持ちの家だったため、誘拐されそうになった事があったのだ。


 だから防犯用にと、たまに持つ事があった。


 なのでホノカは、一人でいる時にその携帯をときどき眺めていた。


 携帯には、女の子らしい、ピンクの携帯にハートのシールが貼ってある。


 ホノカは備品に装飾品などをつける性格ではなかったが、知り合いにおそろいがいいと言われて、断れなかったのだ。


 ホノカのはその携帯の画面を見つめて、「あっ」と驚く。


 異世界の品である携帯はこれまで、通話はできなかった。


 しかしなぜか、今夜は通話可能状態になっていた。


 元の世界に電話をかけられるかもしれない。


 そう思ったホノカはカガリに相談すべきか、今のうちに連絡をとるべきか悩んだ。


 悩んだ末に、どんな条件で通話可能になったか、分からないため、部屋から動かない方がいいと結論付ける。


 ホノカは、意を決してアドレス帳を開くが。


 そこにメールが届いた。


 ホノカは、再度「えっ」と驚いた。


 そこには、驚愕の事実が記されていたからだ。


「まさか、こんなことが真実だったなんて。はやくお兄様に知らせなくては!」


 携帯を手にしたホノカは、急いで兄の元を訪ねた。


 しかしカガリは、相変わらず女性を口説いているようだった。


「なんてすばらしい色なんだ! 君の瞳は宝石のようだ!」

「まあ勇者様ったら、お上手なんですから」

「お兄様! 馬鹿なことをしている場合ではありませんわ! 大事なお話がありますの!」

「いててて、なぜ殴るんだ。後もうちょっとでいい雰囲気にもちこめたのに!」


 ホノカの部屋に連れていかれたカガリは、言い訳をする。


「今、ほかの勇者の動向について調べてたところなのに。仲良くなったら、ここだけの話だって教えてくれたんだ。その勇者、ほかの国で衛星を作ってるんだってさ」

「お兄様は、将来ぜったいろくでもない大人になりそうですわね。ヒモにでもなるおつもりですか」

「ちゃんとするさ、その時が来たら」

「そう言って、ちゃんとなさった試しがないじゃないですか!」


 ひとしきり怒ったホノカは我に帰って説明する。


 携帯で送られてきたメールの内容について。


 それを見たカガリは驚かなかった。


 カガリはそも内容を薄々予想していたからだ。


「とりあえず、みんなを集めて話し合おうか。名目上では特訓の改善とかなんとかにして」


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