第4話
「ねえ、失望してる?」
それは、もう数え切れないほど耳にした問い。
わたしは真横から聞こえる、その嘲笑と共に繰り出される言葉に、ほとほとうんざりしていた。
「君の想い人は、君に別の男をあてがったんだよ? これって、悲劇じゃない?」
見なくてもわかる。
隣人であるカラクリ人形は、立てた膝に肘を置き、手のひらで包むように、形の良い顎を乗せて、その嫌味なほど、作り手に似た瞳をわたしに向けているのだ。
そう、わたしの大好きなあの人は、餞別にこれを選んだのだ。
自分が何かをもらうのではなく、自分の作品をお店の棚に並べることを。
わたしの隣に並べることを。
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