第2話 六峰鬼神会というところ 二
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「……と、まあ、こんなところだ」
「へえ……全国にあるんですね」
安住登也と
「ああ、まあ、おれは全部の支部に行ったことがあるが、みんな、それぞれの場所で頑張ってくれているよ」
思いついたように、ふと正男が聞いた。
「ところで、まだ、あんまり知らないんですけど……ここの『会』の一番偉い人って誰なんですか?」
「え? そうか……知らないよな。まあ心配しなくても、危険な組織じゃないから……宗教的とか、反社会勢力とか……そういうのじゃないから」
「……」
正男も、それはそうだろうとは思いつつ、知らないうちに、とんでもない組織に入っているのも困るという気持ちはあった。
登也と明美が顔を見合わせて笑う。明美が説明するには、
「ここは私たちが知っている限りでは、
「
「なんか……僧侶の方か何かですか?」
「え?」
「いや、なんか変わった名前」
「まあ、そういうこともやってるみただが、新興宗教じゃない。きちんとした宗派の僧侶で、うちの会員に対して、その宗派への入会とか言ってこないから……おれも言われたことがないし」
「私も言われたことがないわ。宗教的なこと……」
明美も言う。
「四天王ですか……」
「ああ、なんかアニメみたいだろう……」
登也と明美が笑う。
「四人いるから周りがそう言ってるだけよ」
正男はそれでもやはり気になる。
「代表は……でも、ここの『会』の代表は安住さんなんですよね」
そこが正男がこの組織について、今一つわからなくなるところだった。代表が安住なのに、まだ、その上に何人も上の人がいる……
「そうだ。雇われ社長ってとこかな……」
「?」『どういうこと?』
「まあ、この『会』を表……つまり会員の前で『会』を引っ張っていったり、みんなにいろいろ伝えるのがおれの役割。あと対外的に『会』を代表して、いろいろな人と会うのもおれってこと」
「え? じゃあ、その四天王って呼ばれる人たちは何をしてるんですか?」
「……本当の実権者だな……おれは……いや、ここの『会』は、みんなから……お布施やらといって……お金を取ってないだろう。どうやって組織を運営していくんだよ……今日の東京行きも、おれを含め四人の分の交通費と宿泊費は『会』の出張費としてもらえるんだ」
「……」
「不思議だろ」
「……ええ」
「不思議な人たちだから……四天王なんだよ」
『……いや、理由になってないですよ』
と言いたいところだが、これ以上聞いても明確な応えは返ってきそうになかった。
「ところで、急に誘ったけど、明日から東京……よかった? 予定とか……」
明美が気を遣って聞く。
正男は美登里と顔を見合わせた。
「別に用事なかったし……ねえ」
と美登里の方に視線を向ける。
「うん。特に予定なかったので……」
「そうよね」
明美が、二人を見て笑う。
正男は『? そうよね……って……どうなんだよ』と思いながら、美登里と顔を見合わせる。
二人とも、登也と明美の半ば強引な誘いは慣れていた。
次の日の朝、四人は京都駅に集まった。白い毛皮のコートとマフラーを巻いた美登里。ショートボブで小柄な美登里はふわっとした感じの服装がかわいらしかった。
新幹線のホームは『十一番のりば』と『十二番のりば』名古屋、東京方面のホーム。結構たくさんの人が新幹線を待っている。
『数日前、ここで
線路を挟んで向かいの『十三番のりば』と『十四番のりば』が新大阪、広島、博多方面のホームに数人の男女が集まっているのが見えた。
「あ」
登也が何かに気付いたようだ。
「あれ」
向かいのホームを指差して明美に言う。
「あ、安田さんだ」
明美も知っている人らしい。
正男は『誰?』と思ったが、どうやら『
東京方面行の新幹線が入ってきた。四人は新幹線に乗り東京に向かった。
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