第3話 会話

5分のタイマーがたった。岩倉先生は言う

「HRの時間終わりかけだから自己紹介カードは1限目始まったらヘビ状に40秒間隔で見せ合いっこするわよ♡」

「授業終わりの挨拶はなしで構わないわ、休み時間にしてちょうだい」

岩倉先生からHRの終わりの合図が出される。

自己紹介カードであってたんだ。

周りはガヤガヤし出す。うん。まあ。友達も少なく、唯一の友達幹太も周りのクラスメイトと話をしている。あそこに入る勇気なんてない俺は、スマホを出し、お気に入りのゲームをする事にする。ロック画面からホーム画面に移動しゲームを起動する。

一体どんなゲームをするかって?MMORPGだよ、そこで俺は「U10」《ユートン》と言う名前でゲームをしている。めっちゃわかりやすいだろう?優→U 斗→10 意味がわかるとすごくダサい。ダサさダサダサだ。何言ってんだろうね。

「ねえ…くん」

誰かを呼んだ声が聞こえたが俺ではないだろうから無視してゲームを進める

「優斗君ってば!」

まさかの俺、俺を呼ぶやつなんて幹太ぐらいだろう。

むむ?幹太が君付けしないし、こんな声高くないよな...?それに前から声が聞こえた声がした方に顔を向けてみる。

OMGまさかの前の席の海野さんだった。しかもちょっと頬が膨れている。


「ど、どうされました?」

スマホの電源を切りポケットにしまう。

喋り慣れてない女の子と喋ると途端にスキルコミュ障を発動してしまう。ここで「ごめん気づかなかった!」とか言うべきなのだろう。しかしそんなハイレベルな会話はできない。しょうがないじゃない、俺だもの


「呼んでたのに全然返事してくれなかったから無視されてるのかと思った」



「すいませんちょっとゲームに集中しちゃって」

おっしゃ!次は謝れた!なんで謝れて喜んでんだ?


「じゃあ無視してたわけじゃないんだよね?なら、良かった。このクラスじゃ私、隣の夕羽ちゃんくらいしかはなせる子いないからさ。仲良くしてくれると嬉しいな」



うん。可愛い。とても可愛い。どのくらい可愛いかって言いますと、クレオパトラと肩を並べられるくらい。それくらい可愛いんだから、今はできていないだけで友達なんてすぐにできるだろう。ちなみに中学生の頃を知っているからわかる。性格も素晴らしく良い。


だからこそ。俺がここで仲良くなる必要はないのだ。幹太が言う通り俺自身も自分の見た目がちょっと怖いかもしれないことくらい知っている。

ここで仲良くなってしまったら海野さんに近寄ってくるクラスメイトたちが減ってしまうかもしれない


「だめ...かな...?」

悲しそうにしながら海野さんはそう言い放った。

こんな顔されたらYESというしかないだろボケェ!


「い、いやだめじゃないけど...そのーなんだろう海野さんは可愛いからすぐ友達できると思うから無理して俺と仲良くする必要なんてないと思うけど...それでもいいならよろしくお願いします。


YESをしたんだが、悲しそうな顔からちょっとムッとした顔になっている。本当は仲良くしたくなかったのか?


「可愛いと思ってくれてるんだ。ありがと、私が仲良くしたいって言い出したんだからきにしなくていいよ。じゃあ1年間よろしくね


あっ、理解した。同年代で一応中学三年生から面識のある子に苗字呼びをされ、距離を取られているように感じたんだろう

可愛い子に名前呼びされたいからここは頑張るしかないな。頑張れ俺!スキルコミュ障を発動するな!


「じゃあ、1年間よろしくお願いします

海野さんはちょっと嬉しそうにしていた。距離を取られるのが嫌なのだろう


「うん!よろしくね!

名前呼び助かる。今日の授業この名前呼びだけで生きていける。

ん?俺しれっと可愛いって言わなかったか?

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中学時代タイプだった全く話さなかった子と高校二年生で仲良くなる話 ぬくずなつろう @natukun

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