学校生活、最悪の始まり

「何か質問はありますかー?」





先生がみんなに呼びかける。



すると、みんな一斉に手を上げる。


私の容姿が独特だから、興味津々なのだろう。


最初に聞かれたのは、名前だった。



私は、クラスメイトなんか見向きもせずに、空いている、以前転校していったという子の席に座った。

その子は静かで、読書が好きだったらしく、一番端の席にされていた。



私は荷物を置いて、ランドセルなどを片付ける。



少し怒った感じの先生と、質問に答えてもらえず、困惑している生徒。



私はため息をついて、



「私は白雪 抂花。今の心情は……教師はそんな簡単に生徒の情報、喋っていいのかな、って思ってる。以上。」



とチラリと先生を見て言った。


担任は怒っていたが、なにも言ってこなかった。



どうでもいいな。



一瞬そう思った。


コミュニケーションをとることがとても面倒臭いと思った。



こんなお喋りをして、質問をして、なんの利益があるのだろうか。


好きな食べ物?それ、聞いたって、へー、あっそ。って感じでどうせ終わるのにわざわざ言う必要ある?言っても言わなくても別にどうにもならないよね。


誕生日?私の誕生日はもう過ぎてるし、祝おうと思ってももう遅いから、言わなくていいよね。


好きな本?聞いてどうするの?どうせ読まないでしょ?私が読む本、ちょっと君にはまだ早いかな。とても厚い本だから。とてもじゃないけど、みたいなには読みきれないよ。


色々と思い浮かぶ言葉。



私はまた、ため息をついた。




こんなことを考えるのは、私のせい?


それとも、学校が悪い?


そんなのわからない。けど、学校は通わなくてはならない。

“義務教育”だから。




授業にはいる。()を使った計算、など、何故解けないのか分からないほど簡単なものだった。


しかも一番驚いたのは、授業の遅さ!



いやいや、遅すぎだろ……。


なんでたった五問解くのに10分もかかる!?


しかも解き終わった人は解き終わっていない人に教えなければならないなんて……。


本当に無理。絶対に誰にも教えないから。

それでも、



「ごめん、教えてもらってもいい?白雪さん。」



隣の人に話しかけられる。


私は面倒臭いと思いながらも、流石に断るのは……。と思い、これは忍耐力のテストだと思いながら教える。


案外分かりやすいと好評だったが、生徒の一問一問を解くスピードが遅すぎたので、もう一生教えたくない。


これからは問題を解くスピードも考えなければならない。



そして、練習問題?とやらに入る。



私はいつもよりゆっくりにしたが、やはり一番早く終わってしまった。

でもこれ以上は遅くすることはできないので、やっぱり普通に解いても変わりはないと思う。



色々な人からヘルプが入るが、12人目に達したところで、スピードの遅さに絶望し、無視して図書館で借りてきた本を読むことにした。



勿論先生にも色々言われた。


「友達に教えることだって、自分のためになります。」


だとか。

私が担任に、


「例。」


と言うと、生意気、とでも思ったのか、しかめっ面をして、


「例えば、友達が間違えていることを、自分が注意することができる。教えられるってことは、自分が良く、そして正しく理解しているということだから、それを確かめるためにもなる。それにコミュニケーションだってとれるし。」


と言ってきた。


私は淡々と、


「元々この単元完璧。コミュニケーション意味なし。」


と言う。


すると、担任はとても怒った顔をしながら、なにも言い返せずに教卓へ戻っていった。

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