8.ラブソングを口ずさんで

「息がと~まるくらい~のっ…」


 お望み通り。

 息が止まるくらいの、熱く蕩けるキスをしてあげる。


 彼の十八番のラブソング。

 今ではあたしも、お気に入りに。


 ひとこともいらない。

 とびっきりの、今を共に。


「今度、メリーゴーラウンドでも、一緒に乗ってみる?」


 クスクス笑うあたしに、彼は真剣な顔で言うの。


「メリーゴーラウンドじゃなくて、オレの上に乗って」

「…バカ」


 相変わらず、あたしの気が乗らない時には無理強いしない彼。


 …偶には強引に来てくれても、いいんだけどな?


 なんて思っているのは、まだナイショ。


 彼と過ごす時間は、楽しい。

 だけどやっぱり、あたしにはあたしだけの時間も必要だから。

 彼はやるせなくも切なくもなるみたい。


 それはまるで、彼の十八番のラブソングのよう。


『LA・LA・LA LOVE SONG』


 …素敵な曲ね♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る