7.やっと

 独りのベッドより、2人のベッドの方が狭くて窮屈。

 だけど。

 独りのベッドより、2人のベッドの方が温かくて安心。

 だから、かな。

 あたし、彼の部屋に泊まると、ものすごく寝付きが良くて熟睡しちゃう。

 …彼はどうやら、いつも寝不足みたいだけど。


 そろそろあたしたち、イタしちゃう?


 そう決めて、彼がお風呂から上がってくるのを、寝た振りをして待っていると。

 ホカホカに温まった体の彼が、そうっとあたしの隣に潜り込んできた。

 でも、横になるわけじゃなくて、半身を起こしてじっとあたしを見ているみたい。

 大きな手であたしの頭を優しく撫でながら、時々切なげなため息をついて。


 あたしがその気になるまで、ずっと待ってるって言ってた彼。

 ほんとにもう…どんだけ我慢強いのよ?


 寝た振りをやめて目を開けると


「ごめん、起こしちゃった?」


 なんて、慌てて手を引っ込めようとするから。

 その手を掴んで、あたしは言ったの。


「…して?」


 って。

 一瞬の間の後。

 彼はあたしに覆いかぶさってきた。


「やっと…」


 耳元で、彼が囁いた。

 あたしには、こたえる余裕なんてとてもなかった。

 彼のくれる熱が、ただただ、気持ちよくて堪らなくて。

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