第25話 女神の印象


 『もう! 早くヤクルと会いたかったし、お話ししたかったのに! 第一チャクラにばかりオーラを溜めるんだもん! 全くヤクルと繋がれなかったじゃない!』


 これ、ナディ様だよね?

 こんなにフランクな方なの?

 ヤムリの話ではだいぶ厳格な感じの方じゃなかった?


 『ナディ様、突然すぎてヤクルが戸惑っています。なにぶん今日は我ら二人とも再会して混乱しているので……。もう少し落ち着かれたら……。』


 『うっさいわよ! ヤムリ! あなたはいつも固いことばり言って! 私は早くヤクルに会いたいの! 再会の挨拶済んだらすぐに私と繋げなさいよ!』


 『悪いな、ヤクル。こういう方なのだ。私も半解放まで修行でいけてな。こうしてナディ様と交信はできるようになったのだ。もちろんナディ様の世界に行ける、ということはできないのだがな。』


 ヤムリが申し訳なさそうなオーラを出して謝ってくる。


 「いや、全然いいんだけど……。ナディ様? 僕はナディ様に本当に感謝してますよ? 僕みたいな一般人に夢と使命を与えてくださって。」


 『まぁ! ヤクル! ヤクルは特別なのよ! さぁ今から私の世界に呼ぶわよ! 会いたくて仕方ないんだから!』


 「いえいえナディ様。実は今の僕は小学生でして。流石にもう寝ないと明日学校に行けません。僕はあなたの使徒になると決めたんですから。なので今日のところは。休ませてください。」


 『むう……。そうなの? チグルに回復させれば疲れも取れるのに……。まぁこれからはヤムリがいればいつでも会えるものね……。分かったわ。今日は我慢する……。でも! 明日の夜! 絶対会うからね! 約束よ!』




――――――




 『すまなかったな、ヤクル。お前の今の人生を軽く見ているわけではないのだ。今のご両親にも感謝しているしな。しかしナディ様もヤクルのことをずっと気にされていたからな。許してやって欲しい。』


 ナディ様からの更新が止まりヤムリが言ってきた。

 本当に感謝の気持ちはあるからいいんだけどね。

 でも今の家族もマジで大事だからなぁ。


 「ヤムリ、チグル。二人に会えて本当に嬉しいよ。でもこの生活も大事なんだ。色々相談させてもらうこともあると思うけど、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいな。」


 『私も日本という国には興味がありますからね。ヤクルさんと共に過ごせたら嬉しいです。ですよね? リンポチェ?』


 『ああ、そうだな。これからよろしくな、ヤクル。しかし……。明日にはナディ様からまた更新あるだろうがな……。』


 「うん……。それは仕方ないよ……。」


 そして明日のために僕は寝た。

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