第6話 偉大な先人
「ああ、当たり前だ。ヤクルのことはナディ様、神様からお願いされているからな。こちらとしても嬉しい限りだよ、ヤクル。」
「ナディ様? 神様? お願い? どういう事だ? 全く話がわからなくなったぞ、ヤムリ。」
「うむ、すまない。順番に話していこうと思っていたのだが、先にどうしてもお前を受け入れるということを伝えたくてな。」
「いや、それはいいんだけど……。説明してくれるんだよな?」
「もちろんだとも。さて、修行内容からだったな。私たちはさっきも伝えたようにオーラを動かすことを学ぶ。まぁまずは自分のオーラを認識しなければいけないのだが。」
凄く混乱していたが、ヤムリの話を聞かなくてはいけない、そう強迫観念に近いものを感じていた。
「ああ、さっきも言っていたな、チャクラに移動するんだったか……。」
「そうだ。そして溜め込む。まぁほんの少しのオーラを意図したチャクラに移動し溜め込むだけで1日が終わるがな。それほどに厳しいものなのだ、オーラを動かすというのは。」
「一日中それをするのか……。それはキツイな……。」
「そうだな、しかしそれがチベットの僧侶に与えられた使命のようなものだからな。みな真剣に取り組んでいるよ。」
「使命か……。溜め込むとどうなるんだ? 爆発とかはしないんだよな?」
「プッ……。爆発などするわけなかろうが……。なんの使命だ、それは……。まぁいい、続きだ。溜め込むとだな、いずれそのチャクラは解放される。そう伝えられている。」
「解放?! それってどうなるんだ?! なんか凄いことになりそうだが……。」
「実のところ、よく分かっていないのだ。解放した人間の一番最初はゴウタマ•シッダールタ、ブッダであり、それ以後にはいないからな。だが、悟りを開くというのはチャクラ解放にある、そう我々は考えている。そうして輪廻から解き放たれ、解脱をし、涅槃に向かう。それを目標にしている。」
「おう……。ブッダか……。また凄い人が出てきたな……。でもそれなら厳しい修行に打ち込むのもわかる気がするなぁ。悟りを開くっていうのはカッコいいもんな!」
「カッコいいか……。まぁそれでもいいだろう。しかしな、人間のオーラはちっぽけだと言っただろう? だからな、一生かかっても全く溜まることはないんだよ。解放など夢のまた夢。しかしな、人が臨終した、亡くなった瞬間は一番解放に近いと言われていてな。お前が買ったという『死者の書』はその瞬間に耳元で導くためのものなのだ。その役目も我ら僧侶が担うのだからな。みんな厳しい修行でオーラを第四チャクラに属するものに変えている。」
「なるほどなぁ。慈愛だったかな、第四は。安らかに眠れって感じか。」
「うむ、まさしくその通りだ。なので一般の僧侶は解放を目的というより送り人として修行しているな。まさしく私も三年前までそうやっていた。自分の属するオーラは第七チャクラなのにも関わらずな。」
「なんと?! 第七の才能、オーラって凄そうだな! 神との繋がりって言ってただろ?」
「うむ、珍しいぞ? 現在私しかいないしな。まぁ、そうやって第四に変えていた時、シャマルを認識したんだよ、突然な。」
本当に核心に迫ってきたのだろう。
ヤムリはもう一度お茶を口に含み、ふぅと息を吐く。
その仕草に俺も一段と集中しなきゃと思うのだ。
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