毛深い
明鏡止水
第1話
あるところに毛深い女がおりました。毛深い女は情が深い。そう言ってもらえます。しかし、いつまで経ってもお嫁に行けず、その嫁に行かない理由が。
相手を前から好いている友達が身近に必ずいる。当然、お見合いを蹴って相手を友達に譲ります。友達は喜んで文金高島田に和装で花嫁になっていった。
このままいけば、うんと嫌なひとと結婚してしまいそう。
次で決めよう。そして、その次も。そのまた次で。
気立ても良くて一番に嫁に行きそうな子だったのに、いつの間にか年は十八。みな十六で嫁に行き、自分はもうどこにも行けないような気がしていた。行き遅れ。まだ十八だと誰か言ってくれないか。
ある金色の橋で、娘は一人の男とすれ違う。
結婚するなら、あの人がいい。
初めてそう思った時、男の元に別の女が。まだまだ若い、それこそ十六というくらいのものが男に寄り添い、しなだれかかりながら。そのまま去って行った。
もう番(つがい)がいるのか。
毛深い女は、文鳥の二羽でも見るような目で男女を見送る。
女は鬼になった。結婚はした。
賢く、女の毛深さも気にはしない。易しいやつである。しかし女はいつも男を拒む。
一体何が不満なんだ。
女は変わった。
なにもかもぜんぶだと女は言った。
あの日たった一瞬、心奪われただけで、女の寛容は尽きてしまった。
毛深い 明鏡止水 @miuraharuma30
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