第2回 この世界について!

Q1:世界全体について教えてください。


ベルニコ:そうね。どこから説明しようかしら。

まず、この世界は球体ではないわ。その説は昔からあったけれど、否定されたの。この世界は無限の地平が続いている。見掛けは完全に平面世界なの。端はあるのか、どうなっているのか、無いのか。誰も確認できていないわ。太陽はね、動かないの。数時間周期で明滅を繰り返している。それが昼と夜よ。学者の仮説では、この世界の大地は球体のにあって、太陽という光球はその中心にあると言われている。だから平面ではなく、遠くへ行くと少しずつ上方向にカーブしていく筈。巨大過ぎて平面に感じるということね。数百万キロ先へ真っ直ぐ行ってもなお、数百万キロ先まで真っ直ぐにらしいわ。これが本当かどうかも、証明されてはいないのだけど。

私達の住む一帯の近くには海が4つと大陸は3つ。リヒト公国はその内、北西に位置するエタンセル大陸にあるわ。大陸の北東の険しい山脈にあるのが公国なの。山という天然の要塞があるから、隣国からの干渉があまり無くて、実はもう何十年も外国との戦争はしていないの。だから、世界に散らばった『創造』持ちの獣人族アニマレイス達への対抗策は今から講じておかないとね。ああ、東西南北は勿論あるわよ。は、また調べる必要があるわね。

公国は海には面していないわ。水源は、大きな湖があるの。都市の生活用水はそこから汲み上げているわ。

数年に一度、大陸内の各国元首が集まる大公会議というのがあるのだけど、私にはまだ早い話ね。エタンセル大陸には260ほどの国があるの。30万人とか、そういう規模の小国が多いのよね。民主国家は10〜15%程度よ。ほとんどが帝政か王政。

リヒト公国の総人口は約420万人。大陸の中では3番目に多いから、ウチは一応、大国と呼ばれるわね。他の大陸の国からしたらウチも小国に近いんだけど。

私の住む都市の人口は約20万人。その辺の小国くらい居るわね。ひとつの山にこれだけ人が居るのは変だけど、麓の貧民街に居る獣人族アニマレイスの分が多いのかも。

隣の大陸には、光泥リームスではない、『アープ文明』という別の文明があるそうよ。国交も無いから詳しくは分からないけれど。


うーん。このくらいかしら?


Q2:ちょくちょく明らかに英語とかイタリア語などの単語が出てきますけど、どういうことですか?


ベルニコ:そうね。

…………ごめんなさい、分からないわ。公国では大陸で統一された言語を使っているのだけど、その語源はまだ解明されていないの。私も言語学には疎いのよ。確か、リームス文明の始まるもっともっと前から、世界中で使われていた言語がいくつかあって、ある時を境にそれらが交わって、ある程度統一されたらしいわよ。

この世界はまだまだ分からないことが沢山あるのよ。いつか世界を見回って旅をするのも面白いかもしれないわね。


Q3:どちらかというとサイエンス(科学)よりケミカル(化学)では?


ベルニコ:そうね。リームス文明は科学技術ではなく化学物質を用いて発展したというのがより正しい説明かもしれないわね。まあ、その技術を広義では科学と呼ぶのだけど。

言っておくけど、一番『凄い』のはガラス職人なのよ。光泥リームスを流し込むことでエネルギーを抽出して動く回路を頑強ガラス細工で造るんだから。一般規格のものは工場で大量生産できるとは言え、今でも新規商品やオーダーメイドは職人の腕に頼るしかなくて、頭が上がらないわ。ウチにもお抱えの職人が居て、仕事を見せてもらったこともあるけど。アレはとても真似できないわね。その日の内に彼の給与をアップするように父に伝えたわ。



……話が逸れたわね。ではまた次回。

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