第29話 生命(アニマ)の観測実験【ルミナ視点】
ニコの言う『運』っていうのは、実力に寄っている。
ニコが、できる全てを費やして、その上で、最後に祈るという『運』だ。運任せで何もしないってことじゃない。
「お主は……そうか。ベルニコに拾われた
「……わたしはルミナス・イストリア……だと思ってたけど、違うみたい」
わたしは違う。そもそもできる行動の選択肢なんて殆ど無かった。運任せの割合が大きい。
ニコは、行動の伴うプレイヤーで。
わたしはただの運否天賦のギャンブラーだ。
「ああ。ルミナス・イストリアと名乗ったから興味を持ったベルニコに拾われたのか。そうだな。お主に名は無い。我々が把握しておらぬ『再構築』が貧民街に居たとは。現イストリアの
「!」
そして。
ずっと勝ち続けてる。
通行証の時も。ニコに見付けてもらったことも。
今ここに立っているのも。
ずっと、運がわたしの味方をしてくれている。
「……『
「そうか。……『再構築体の
「スワンプマン?」
「体細胞全て、同一の。昔に付いた傷まで再現した『外見と成分だけ同一人物』だな。心臓は動いていたが、呼吸はしていなかった。再構築後数分で死んだ。恐らく呼吸は、やろうと思えばできた筈だが、しなかった。『生きる』という目的が無かったのだ。つまり主体の無い、『同一の別物』。肉体だけ人間でありながら、生物としての
「…………じゃあニコは」
「完璧な『人間の再構築』には、条件がある。たったひとつ。それが、
「…………それは?」
「『
「……!」
「安心しろ。そのベルニコは『本物』だ。お主達の間で信頼関係があったのだろう。きちんと、
知らなかった。いや、知り得なかった。インジェンがあんなに驚いてたんだ。きっと。
ニコが初めての『成功例』、なんじゃないだろうか。
「……じゃあ、わたしやインジェンの
「お主やインジェンの身体を造ったのは再構築ではない。別のやり方だ。ルミナスの
「…………わたしの、人間、時代」
やっぱり。
「……で、何だ? 何か言いたかったのだろう」
賭け事が好きな訳じゃない。それしか選択肢が無かったんだ。
この人達に、捨てられたせいで。
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