第10話英雄と呼ばれる前の話 その10

場所アルボレナ


登場人物

商人 ゴトー16歳

ミグロパーティーの4人

渋い顔の母スペイド


学校長のヘンデバーグ

神霊官ロステラ


【本文】

ゴトー

『丁度倒れる時にとどめを刺したので止まったのではないですか?』

ミグロさんは納得いっていない顔で

『僕が首を切る前に気絶していたんだぜ ゴトー君』そう言われるとそうだな

ミグロ

『各種スキルがすべて空欄だが、神霊官からスキルの発掘をしていないのではないか?』

ゴトー

『魔法剣士ですので神霊官からのお墨付きで。。。。この魔石に』といって魔法学校卒業の魔石を指さす


やっと納得した顔のミグロさん

『違うんだ 生まれつきのほうだよ 学校のものではない』

今度はゴトーが不思議な顔だ、卒業時に神霊官から合格にふさわしい証明をしてもらう

それが卒業時の魔石だ、それじゃない? もう意味が解らない

ゴトー

「生まれつき??え?そんなものあるんですか? それ調べれるんですか?」

ゴトー以外のミグロパーティーは全員納得したような顔している


エフカさんが『俺が説明しよう、そりゃ学校の成績は悪いはずだよ』


エフカ

『ゴトー君金属剣の剣技成績悪いよね それだと生まれつきスキル、パッシブスキルというんだが 金属装備半減かそれ以下』

『俺は金属装備1/2だもの どう頑張っても金属剣では普通の人以下なの』

『改善は不可能、これ生まれつきのスキルで変更できないから』

『タレントといって才能だな、それはわからないが空欄ということは無いということだ』

『もしタレントが本当に無いならそもそも魔法が使えない、、商売の神様あたりじゃないかな』


『ゴトー君は金属剣の成績が悪く、槍で突破したよね 剣は金属、槍は木だし弓も木だ』

『金属剣の成績が悪いから最低ランクになってるけど、卒業試験の魔石は昔からの流れで金属剣しか表示されない』

『得意なもの槍と弓、それはひと並み以上の成績だよね、俺がとっとと諦めた兵士向けの試験で合格できてるんだから』

『魔法剣士の剣技試験はとても厳しい、兵士の巡回時でも主戦力だよ』

『よく使っている魔法剣は卒業魔石にない、だって【金属剣を使った剣技】の証明だから』

『要は魔法の力が強いからミグロのタレントと訓練を重ねた金属剣より攻撃力が高いんじゃないの?とミグロはいいたそうだぜ』


ドルマ

『ちなみにミグロさんは身体能力3/2の【タレント】まあ生まれつきの才能ね』

『スキルはアクションスキルが跳躍能力向上50%、パッシブスキルは魔法全滅、ユニークスキルは金属装備5/4』

『カウンタースキル、、、まあこれがミグロさんらしいがリーダーシップだ』

『剣技だけならゴトーの親父さんを超えるいい兵士になれる腕だ』

『見ていてほれぼれするだろ』

ゴトー

『要は、、、魔法剣士で金属剣の剣技は絶望まで分かりました』

ミグロさんとパーティーメンバーは無言になった


索敵巡回は何事もなく終わり柵内に戻って来た

すぐに中央冒険者組合の隣にある魔法学校に向かった

ミグロパーティーの面々と明快予定を取り一緒に学校に到着した


表向きはミグロさんと一緒に学校に『G級昇格のご挨拶』ということで向かう

G級冒険者はめったにいない、討伐系をやらないとFどまりになる

アルボレナの西でG級は長年討伐系ばかりやったカンデラパーティーと南の柵ではミグロさんパーティーの2パーティーしかいない


目的は学校長のヘンデバーグと神霊官ロステラとの面会だ

ゴトーのタレントとスキルとスキルを調べてくれといいたいが、本来は学校で卒業までにやる必要がある

本当に何もない可能性もあるので、目的は告げずに学校に中に入っていく

この【処世術】のようなものはさすがミグロさんだ


ゴトーは1年半ぶりの学校に到着

桜並木が懐かしいとミグロパーティーの面々、、ゴトーは1年前なので正直そこまで思い入れはない

ミグロ

『先日中央政府の通達でG級に上がることができました』

『ご指導いただいたお礼にこうやって回らせてもらっています』

『そのご挨拶がてら念のためスキルと才能<今後はタレントで統一>を念のため調べておこうということになりましてお邪魔しました』


このあたりの口の滑らかさはマネできるものではない

来た目的は『お前らの手続き忘れの尻ぬぐいに来た』のだがわからないようにうまく発言をするものだ

ゴトーなら『学校で生まれながらのスキルもタレントも調べてもらってないのですが??なぜですか??』とか直球でいいそうだ


ヘンデバーグ学校長は神霊官ロステラに

『そうか、G級冒険者は少ない ロステラ神霊官 見てあげてください』

ロステラは魔石と比較しミグロさんから見ていく

次にエフカさん、ドルマさん、ピロリさんとみて魔石に記録していく

ゴトー以外内容が同じなのですぐに終わる


ゴトーの順になり何も書かれていない魔石、、、、【お、、、】と小声が出る

ヘンデバーグ学校長は異変を感じ取り、ロステラ神霊官に問いかけようとする

【これは。。。。。】とただならぬ雰囲気だ

呼びかけようとしたヘンデバーグ学校長が呼びかけをやめた


ロステラ

【上位の神霊官と相談が必要ですね、今日はすぐに神霊協会に帰ります 緊急案件です】

さっさと学校から走って出ていったよ


残されたヘンデバーグ学校長から

『緊急事態のようだ 明日もう一度お越し願えないか』

滞在時間15分学校から出た


ゴトーは先に聞いていた金属装備の何か問題がわかり、魔法剣士なのに剣士の特徴の金属剣が碌に使えないというのを言いにくそうにしているのだと思った


魔法剣士の学校で【あなたは剣士絶望です】とは面と向かって言わないものだ

剣士がダメでも攻撃魔法が良いものがあれば『攻撃魔法を磨こう』と提案がある

回復によいものがあれば『回復魔術で住民の役に立ってはどうか』とか提案がある

こういわれれば 俺は勇者の才能はないと分かる

教育者というのはこういった気の使える人がなるものだ

何でもできる魔法剣士だが得手不得手は誰にでもある

やる気をそぐような物言いはしないのよ


ゴトーは何も言われていない、最短距離で卒業するのが目標だったのは教師も知っている

合格の判定が取れればそれ以後授業に出ない、それでも何も言われない

別の卒業に必要な授業に出ていたので、勉学をしていればそれは生徒のためを思って習熟訓練は飛ばしてもよい

大前提の教育方針として良いとこを伸ばすことが学校で、ダメなところを直すところではない


パーティーメンバーも勇者はダメだろうと思っていたらしいが、この日は本当に挨拶だけで終わった

その日は中央の冒険者組合に泊るため移動し何か商売のタネを探していた

夜お酒をの飲むことになったがゴトーは余り酔えなかった

『魔法剣士で剣士ができないとは言いにくいのでしょうね、正直に言ってくれれば改善策は見つけるのに』

何か慰めの言葉をかけられても、いいお酒ではなかった


お酒は20才から??【しるか】


翌日朝から学校に再訪する、用件はひとつだが昨日と同様挨拶から始める

学校長ヘンデバーグからゴトーに

『ゴトー君には済まないことをした タレントと5種スキルを調べていなかった』

ミグロさんは白々しく

『左様でしたか、、、、調べに来たかいがありました』

と初めて知ったふうな口ぶりだった


ロステラ

『ゴトー君、私の調べ忘れだ 君にはとてもいい知らせと悪い知らせがある』

ゴトーは打ち合わせ通り

『タレントもスキルも無いので、おそらく教育者として言いにくいことであろうと思っていました』

目に力の入ったロステラ

『うむ ゴトー君はこれだ』、、、『これを見てくれ、すごいぞ』

ロステラの見ろといった場所はユニークスキルだ


タレント>生まれつきの才能で後からではどうにもできない>武器武具の作成能力向上50%

製造系にはうれしい 最低50%なので装備の改良、作成に一生役に立つ

パッシプスキルーー生まれ持った自動発動するスキル、改善できない>金属装備1/4

絶望だ、、低くてダメといわれるエフカさんの半分だ


アクティブスキルーー攻撃や防御時に発動するスキル>全魔法能力200%

これはかなり強い、このため強く遠くに魔法は使えたのか

ユニークスキルーー戦う個性?戦い方の指針?>魔装備能力解放

よくわからない

カウンタースキルーー発現なし

商売の神様とか期待していたよ


ロステラ

『ゴトー君 ユニークスキルは、なんと魔装備能力の開放だ

『これは伝説級の非常に貴重なスキルだ』

ゴトーは鍛えれるアクティブスキル全魔法能力200%<最大666%らしい>はうれしかった

一生装備作成は人より有利だ、それもよかった

父親は剣技師範、息子は何のタレントもスキルもない 剣術の下手な村人A 落ち込むわあ


『校庭に出よう』 とヘンデバーグ学校長

そんな落ち込みも知らず、うれしそうだね 人の気も知らないで

校庭に出て渡されたのは 何の変哲のない石の剣だ


ロステラ

『ゴトー君 精霊剣は知っているか?』

精霊剣は石に込められた精霊を使える魔剣だ

見ため通り石の剣で精霊を石の剣に封じ込め、それから魔法を使うように剣を振ると精霊の力で魔法の斬撃が飛ぶ

授業で習ったが、実際使用することはない

位置調整が非常に難しく8分は使用する、命中までも5分は使用する

動くものに対してはほとんど使われていない

ゴトーは魔法剣士で精霊魔術も使える

精霊魔術の中に回復、治療をまとめたものを神霊魔術という

ゴトーは神霊魔術は毒治療は得意項目であとは平均より少し下だ

精霊剣は授業では知識だけの『使えない魔術』の代表例だ


ロステラは【イフリートを見せてくれ】といってパーティーと自身と校長を後ろに下がらせる

ゴトーは魔剣の石の剣から「イフリート」を選択する

石の剣から熱くない炎が出る

校庭の木をめがけて30m先から軽く振ってみる、、火が目標の木に当たり炎で焼き尽くす勢いだ

振ったゴトーもびっくりだ


【次はウンディーネだ】とロステラから聞こえてくる

ウンディーネに切り替えると 今度は石の剣から水が滴り落ちる

地面には水は垂れていないようだ

今度も同じ様に軽く振ると燃え盛る木から炎を消す

威力が桁違いだ


ロステラが興奮した声で【つ、つぎはヌエだ】

同じようにヌエに切り替えるとしびれない雷が見える

木に向けて今度は範囲を絞って木に向かって勢いよく振る

勢いに呼応し雷が木に向かって飛んでいく

木はバチンと大きな音を立てて折れてしまった

30mの大きな木なので倒れてきたのはちょっと焦った

誰もが驚いているが一番びっくりしているのはゴトーだ


剣技絶望の村人A、それも金属装備だと1/4とかなり悪い

金属剣だけではなく、鎧、籠手なども装備は実質不可になる

今は魔法剣士らしく今は金属鎧を着て金属剣を帯剣しているが、学校では皮のあてもので授業だった

剣技も木剣で授業を受けていたので、金属鎧を脱げば剣技が向上するわけでもない

槍なら兵士用の訓練で合格したし弓は練習のおかげで良いほうだとは思う


普段は動きやすいようにローブも着ず、なめした皮の鎧を着ている

剣技に必要な肉体技術はスキルなし、これまた村人Aと同様だ

良いところは索敵、攻撃魔法、回復魔法、能力200%、そして魔装備可能

魔装備で精霊剣は使えたが、他の魔法剣士でも使えるのではないかと思う


学校でわかったことは嬉しいがやっぱり 魔法剣士だが剣技は素の状態でもへっぽこ剣士、とくに金属を持てば落第生以下どころか村人Aの1/4の以下の能力に落ちる

【絶 対 に 】勇者にはなれないことが確定した


身体能力も一般人、疲れの軽減もないし何かを無効化できるわけでもない

魔法は磨けばさらに威力も上がるし、使える量も増えるといわれたが、やはり勇者ダメというのが響く

伝説の武具なんて持てない、何か一大事でもなければ貸し出しもできない

用事が終われば当然返却で普段はこれまで通り槍と弓

魔法剣士は剣技と魔法で戦う職業だろ?姿格好も大事なやる気の要素だ

かっこいい金属剣を紋章のある鎧、魔法を軽減するマント装備はかっこいいんだよ


鍛冶職に便利な武器武具の作成能力向上50%<666%が上限>は役に立つが鍛冶職でも需要のある金属物はダメ

金属ではない伝説の武具は持てるし能力も発揮できる

弓の改良ぐらいか? 役に立つの

しかし前線は絶望でいよいよ討伐補助しかできそうもない、嬉しいがものすごく悲しい


しかし冒険者組合もエルデバランもゴトーの気持ちなど関係なく【伝説の勇者誕生】に沸き立っている

即座に号外まで出る始末だが、周りの喧騒とは裏腹に【伝説の勇者の勇者抜きじゃん】と一人で突っ込みを入れる


心の声がおもわずミグロパーティーにも聞こえた

ミグロさんたちは「うまいこと言うなゴトー」と笑っているが本人は結構落ち込んでいる

中央の冒険者組合に寄り 様々な人から祝福を受けるが心は晴れない

言葉では「ありがとうございます精進して役に立てるようにします」といっているが勇者を駄目だしされた後だ、気持ちは浮かび上がらない


この当時は12歳になった時にタレントもスキル鑑定されていたが、ゴトーは卒業まで早く卒業に必須なことしかやっていない

それで神霊官の鑑定がされなかったのだろう

ユニークスキルがレアでキマイラも討伐できたのだろうな

ーー実際は攻撃が当たらないから飽きて撤退ーー

実際索敵が得意なのはアクティブスキルのおかげだ、タレント装備作成なので現時点では落ちこぼれ魔法剣士「剣士絶望」が確定した

父は剣技がうまかったんだがなあ、剣術師範だったぞ

おめでたい? 何のことですかねえ

かっこいい金属鎧ともおさらば、肉体能力は一般人

剣は使えないでは気分が浮き上がるきっかけもつかめない

勇者に必須なマントは魔術師が着るローブじゃダメなのよ


この時にゴトーもミグロパーティーも全員、、国民すべてかもしれないが大きな見落としがある

『魔装備の自力作成能力』だ しかも金属は除くが50%のボーナス付き

自分で伝説級の魔装備を作れる能力に気づいたのはしばらく後のことだ

この時は勇者絶望で落胆していて全く思いつかなかった


卯月はミグロさんのあいさつ回りで東の冒険者組合に初めて行った

東の冒険者組合は東に約2週間ほどかかる遠い場所だ

兵士の大きな駐屯所がありレモニウムと対峙している

冒険者もG級こそいないが東の北は討伐系は多い

レモニウムと隣接しているため兵士が多いし、施設も西とは比べ物にならないほど都会だ


ゴトーの噂はここにも流れており話しかけられることも多い

ミグロさんから「まだまだ駆け出し冒険者です ご指導をお願いします」、「剣技は見込みがなく魔法を磨くよう精進します」、「これまで通り、何でもできる魔法剣士の道を行きます」

この3つで大体足りるよとアドバイスをもらったので3つの言葉を繰り返している

こういった立ち回りははさすが勇者だなあと思わせる

世渡りにたけているというか、、、助かっている

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