第8話英雄と呼ばれる前の話 その8

場所 アルボレナ


ゴトー15歳

ミグロパーティーの4人

勇者カンデラ の9人パーティー


【本文】

普段の3体一組のゴブリンじゃない、ここで呼ばれた理由が分かった

ゴトーは範囲せん滅で呼ばれたのだ

予備の寸胴は8つほどあるがそのうち4つは昔懐かし14人パーティー用の食料だ

アークゴブリン討伐一日目は空振りに終わる


2日目も同様だがゴブリンの数は170体付近まで増えた

同じように近づくが油断させるため攻撃はしない

夕方残量を見ると半分まで減っている

2日火にかけっぱなしで随分煮詰まっている

ゴブリン170体はなかなか見ることがない


3日目の夕方に2つ目のアークゴブリン用寸胴を置く

1つ目と同じように温めておびき寄せるが3日目も空振り


交代で夜も索敵しているので今夜はスカードトだ

ゴトーは昨日索敵で夕方からずっと索敵して夜の間ゴブリンを追っ払っていた


待望の4日目のお昼

やっと出てきたアークゴブリン

120cm程度の通常のゴブリンとくらべ2mは超えている

寸胴から手づかみで食べている


ベテラン索敵のローキーンから「周囲警戒」の指示が飛ぶ

アークゴブリンは通常のゴブリンに寸胴の食事を分け与えている

東方向に置いてある寸胴2つ、アークゴブリンが食事を終わりゆっくりするまで待機する

1時間ぐらいたった時油断をして座り込むアークゴブリンとゴブリン180体


勇者ミグロから「討伐開始」の号令が出る

真っ先に正面に立つ 勇者ミグロと素早い動きで同じく正面に立つカンデラ

一斉にゴブリンたちも戦闘態勢をとる


ここで大魔術師のクックアール、ロゾナス、エフカが広範囲の火魔法でゴブリンを攻撃するがアークゴブリンの魔法防御で無効にされる

アークゴブリンは追加で魔法防御を立ち上げると自身も立ち上がる

これでアークゴブリン近くのゴブリンは魔法が通じない


アークゴブリンのミグロが右腕、カンデラは左腕を狙う

アークゴブリンはそれも器用に躱すが、勇者2名の追撃、第2弾の3人の攻撃魔術師から氷魔法発射と索敵ローキーンからの弓が発射して命中する

しかし魔法はさして効果がない

続けて追い打ちの本気の火魔法 第3弾はゴブリンには次々に命中する

これまたアークゴブリンにはさして効果はない


自分の魔法防御でずいぶん威力弱まるが、炎に怯んだアークゴブリンはミグロに照準を合わせ攻撃、ミグロは自慢の剣で受け止めカンデラは左腕を攻撃した

今度は避けれず剣傷の入るアークゴブリン


回復のゲトラデは勇者ミグロを回復しつつ、もう一人の回復エランデルとミグロパーティーのピロリは大魔術師3人の魔力回復をしている

これが初めてとは思えないコンビネーション攻撃 さすが歴戦のパーティーだ


更に追撃をかける勇者と大魔術師の5人 アークゴブリンは何回か両勇者と打ち合った

やっと防御効果が切れ魔法攻撃が威力を発揮し始め、周辺のゴブリンは10体単位で討伐されていく


魔法攻撃がさばききれないアークゴブリン

ただ追加の魔法は次々命中しているがアークゴブリンの魔法防御で軽減されている

しかし勇者2名の剣技で追い詰められたアークゴブリンはいよいよ奥の手 咆哮(ほうこう)し森周辺にいる周りのゴブリンを14人ptに突撃させる


14人の周りにゴブリンが数えきれないほど取り囲む

ここまではみていてよかったがお仕事開始だ


ゴトーは『南側 壊滅させます』といって雷ので範囲せん滅を3度場所を変更して撃つ

一斉に倒れるゴブリン

耐えたゴブリンも追撃の火魔法でとどめだ

後で数えたら279体だったが一気に減らす

それでもゴブリンは一斉に森から出てくる

しかしそこは貴重な魔法剣士、ゴブリンでは超えれないよ

弱点看破で雷の範囲せん滅で停止させ、弱点の火、近づかれれたら氷を直接命中させる

それでも捌ききれなければ槍で間合いを取る

森から一斉に出てくるので基本は雷の範囲せん滅で大抵近づけない

ゴトーの索敵距離は広いのだ


アークゴブリンもゴトーが ゴブリン150匹を超えたころには討伐されていた

流石に目の前のゴブリンの討伐でいっぱいいっぱいで、クックアール、ロゾナス、エフカの詳しい状況はわからない


南のもう一方はミグロパーティーの魔法剣士ドルマが奮闘している

ゴトーは森を出てすぐで数を減らし、時折ドルマに助け舟を出すし、ドルマも弩トーの範囲せん滅で追撃しきれない個体に個別で支援攻撃をしてくれている

およそ20分かけ ミグロが『アークゴブリン討伐したぞ』と叫ぶ

それを聞き勢いを増す14人パーティー

その間 馬車にいる索敵のケラゾン、スカードト、ワイトベックも負けてはいない

西のゴブリン集団を討伐する


南の森から次次出てくるゴブリンを討伐していて魔力切れ寸前の時 アークゴブリンの魔術師用の魔力回復をいていたピロリから魔力補充が来る

ゴトーは半分をドルマに渡して引き続き雷で広範囲せん滅をしている

アークゴブリン討伐から6分後ゴブリンたちは突撃をやめ森の中に退却していく

念のため警戒は続けるが大勢は決した


今回はアークゴブリン討伐用に通信魔石が口と耳についているインカムが貸し出しされて相互の連絡に使っていた

何をするかわかるこの便利アイテムの通信結晶がアークゴブリンの体内にある

ミグロさんも持っていない貴重アイテムだ

難易度が高いクエストで全員分貸し出されたが、危険なアークゴブリン討伐のドロップアイテムが貴重な通信魔石だ

自分のものにはできないが アークゴブリンから79個見つかり勇者ミグロさんも喜んでいた


アークゴブリン討伐はミグロさんとカンデラパーティーの6人の共同討伐

討伐サポートは今回は索敵兼商人の3人とミグロパーティーの3人、そしてゴトー

念のため現地で6日滞在し警戒は続けた

アークゴブリン2体目は現れず1体の討伐で終わった

南のドルマさんとゴトーコンビで434体、そのうち279体はゴトーだ

西は3人で166体で600体で終わった

魔術師の3人はアークゴブリンの魔法防御で防がれていたが東と南の一部合わせて344体

2パーティーで944体討伐した


攻撃と魔法に特化した事とインカムがいい仕事をした

広範囲魔法は魔力消費が多いのでピロリさんの魔力回復頼りだった

ゴトーはさすがに疲れ5日目は爆睡した

他メンバーは前日ゴトーが夜間警戒で寝ていないことは知っているので今夜の夜間警戒ローキンも一緒に寝た

それ以外のメンバーはゴブリンを片付けしていた

ゴトーはそれはもういい気分で寝てたよ

まだまだだと感じる出来事だった


帰ってきたのは皐月に入ってから、討伐の報告はミグロさんが代表してやってくれた

討伐サポートでもアークゴブリンは強敵だった

ゴブリンも普段の一日5体前後なら大丈夫だったが、現れた数は3000体は超えていた何より北以外の全方向から波状攻撃をしてきたので休む暇がない

こちらも範囲攻撃に特化しないと、怪我を負うことになっただろう


ともあれ今回は報酬が通信魔石で 借りていたインカムは冒険者組合に返した

79個ドロップしたので品薄の通信魔石はアルボレナだけでなくエルデバラン全体に回される

西は魔物が多く、西冒険者組合の管轄でアークゴブリンの発生が多いため優先的に回ってきたがインカムはないところのほうが多い

インカムはアルボレナでは西と中央しかない

今回の討伐で1つ北冒険者組合の管轄に追加される

討伐金は支給されないが、こういったレアアイテムはランクの上昇に一番効果がある

トレジャーハンター気分が味わえた


ゴトーは2ランク上がっているので今年はもう上昇しない

おそらくだがゴトー以外はランクが上がるだろうし、カンデラさんはG昇格間違いなしだ

何度か討伐できればさらにランクは上がるが、レア魔物のアークゴブリンはそうそう出てこない


冒険者組合に戻ってくると卯月からやるはずだった弓矢の拡充計画を報告にまとめる

いろいろ弓の活用法を考えつつ拡充する

自衛にも役立つよう簡単に発射できる仕組みを考えてみよう


そんな真面目なことも考えているが、繁忙期なので馬車を借りて自宅周辺の生産品を西冒険者組合へ運んでいる

ゴトーの持って帰った収集した産物は種が非常に多く実以外は蔓で地上に大きな実がなる

珍しい産物で比較的良い価格で売れた

西北の2か所の酒場に納品するため顔を出すことも多くなる


皐月は西の農地の間にある農道で北に向かって収集をした

アヤカリ草とムンクの花が収集依頼で出ていた

また農地にマンドーリとメルルニーナもあったのでついでに収集した

アヤカリ草とムンクの花を合わせると行動阻害の呪いの解除の香草になる

マンドーリは魔力回復阻害のある薬草、魔法的には毒の効果で、メルルニーナはシビレ草の正式な名前だ


水無月になると皐月の討伐でゴトー以外全員昇格だった

カンデラパーティーは全員G級 ミグロパーティーはミグロさんがG、エフカさんが2階級上がり同じくG

ドルマさん、ピロリさんも2階級昇格ののFになった

お情けで上がる期待がなかったわけではないが残念だった


水無月は西の北のサイクロプス討伐だがお誘いがかからない

水無月は最も作物生産が活発になり馬車が東西南北に走っている

ゴトーも収集から生産で忙しくあっという間に水無月は終わる

ミグロさんパーティーは南の巡回で来れない為しょうがない

カンデラさんのパーティーには単独では参加できない

まだCランクではまだ収集がメインだ、皐月と同じ収集に励む


休みになると弓の制作に西冒険者組合に向かう

5本一斉発射の弓の開発はまだ承認されない

一斉発射がダメなのかと思い短弓5連射でしようと承認待ちだが、そういえば持って運べるのか?と思い直し女性冒険者に5本短弓を持ってもらった

無理、、、うむ、、持てないものは承認下りないよな


何かに固定して発射するなら自動弓で設置型にしてはどうだろうと思い立った

短弓は5回手で引く必要があるが、自動弓は弓の中央に金属でできたレールの中に弓矢を先に装填して5つ並べて発射する

馬車に1つついているが距離は20mほどで緊急時用といったようだ

ゴトーのキマイラ討伐の時に、何本かキマイラに撃ってくれていた


自動弓は弦の関係で最大20m程度しか届かないのが難点だが、手にもって発射するのが無理なら短弓にこだわることはない

弩弓と呼ばれる国外拠点にある巨大なレバーで引く弓も自動弓の一種なので開発実績もある

可搬連射型弩弓、可搬型一斉発射弩弓の2種類で承認変更をして提出した


濃縮シビレ草は評判になりゴトー含めてエルデバラン全体で13000人が従事する一大産業になった

西北冒険者組合での成績が良く全国で拡大した

夏の時期によくとれる雑草だが、雪が降らない限りずっと緑の葉がある

繁殖力も強いのでなくなることはない

ゴトーも持って帰った別のウリ科の地上に大きな実をつけるものはこの暑い時期かなり売れた

生産農家経由で月に単独で680枚にもなった


週に3日休みをもらって2日は西の冒険者の弓制作と、一日は中央の報告物を見て新産業を興すヒントを得るようにしている

他の日は相変わらず収集と商人として納品に励む

週4日だと馬車費用が少なくて済むし、クエストの出し過ぎで銀貨が少し減って2か月分の余裕しかなかったが収集品様様だよ


水無月にカンデラさんたちでサイクロプスを討伐した討伐報告書は見る

ランクが上がるとそれだけ討伐系に誘われることも多くなる

急いでもいいことはないとミグロさんからもカンデラさんからも言われているが焦るのは無理というものだ


文月 葉月も収集クエストをやりつつ、文月は矢のサイズを通常の35cmから新開発の20cmに変更して小型化してみた

レールに装填するときに35cmのこれまでの短弓長く装填しにくい

その代わり重くなる原因の自動弓の大きさは短縮してみた

5連装を短時間で済ますため何回転もして5本一緒に引く構造にしてみた

発射してみると的に当たらなくなるが5本一斉発射するし装填は回転のほうがしやすい

20cm弓矢に羽をつけ安定させるのは難しいかもしれないが、装填できなければ発射できない

20cm弓矢を自動弓は採用しよう


文月中旬

装填を国外拠点で使用している弩弓のようにレバーを使うとにすると装填が重くなるので、弦を弾く距離を変えないで引く速度を変えてみる

弾く速度を1/8に落として従来の自動弓サイズのまま発射してみるとよかった

引く時間は長くなるが一回で引ける

単発短弓でレールに歯車をつけ5連装で承認申請をしてみる

課題としては今は一斉発射になるので的に当たらない、連射機構の開発は必要になる


文月終わり

長弓のように長くなることは避けたいので矢を通すすぐ横にある金属レールにラックアンドピニオンギアをつけて1/5回転にしてみるとなかなか良い感じだ

5本一緒にひいて一本はどのあたりまで飛ぶのか確認し4本一斉発射、バラバラに飛ぶがいいんじゃないかと思う

発射反動は体で支えられる状態ではないが、弓矢をの羽を大きくして改良でずいぶんまっすぐ飛ぶようになった


葉月から

今月は可搬型にする改良に取り組んでみる

木を丸く削り可搬型にして発射試験をする

木の球を板に乗せ5発一斉発射の自動弓を運ぶ


5連弩が重くて可搬できるのか?試験のため作ってみたが運搬はできるようだ

木の球を固定するために浮かせようとすると重い

固定しないと反動で50cm動き、方向もバラバラに飛ぶ、結構ひどい、、、、、

固定してみると5cm程度になるが方向はほとんどずれなくなるが標的に当たらない


5連弩の支える板の長さを3mまで長くしたら弾道は安定した

しかし長さが長弓のサイズだ

長弓は持ち運びに不便で冒険者は使っていない、それに重く持ち運びが不便だ


長弓は訓練期間が最低3年からという時間がかかるものだ

威力は高く遠くまで届くが命中精度は本人の技量による

長弓とは正反対の思考から考えたのに、結局長弓のサイズにするのが最善とは笑えない


葉月中旬

ここまで月8回来ていて西の冒険者組合に短弓と自動弓を作っている

弓の制作部門が改良短弓を作り発表した

従来の短弓は単発で距離は飛距離は30mが上限だった

改良は自動弓ではギアで1/8にしたが改良短弓は滑車によって引く力を1/2にして、弓の弦の弾く距離を2倍にした

15cm弓矢を引くのに従来の35cm弓矢と同じ距離を引くようだ

弦が1本ではなく3本あることが特徴で、弓も3分割され肩当もついている

弓自体が20cm弓矢に合わせて3分割で小型軽量化した

これで弓の威力は倍加でき50mまで届くようになった

女性冒険者で試験をしたら扱えたので改良短弓の誕生だ

小さくでき装填も早く軽いが、命中精度は訓練が必要だ

短弓の35cmよりさらに短い自動弓の20cmの弓矢を使うので専用品になる

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