第5話 メディウスはすくすくと良い子に育ちます


「おはようございます! 母様!?」


「おはよう、メディウス」


「おはようございます! 父様!?」


「おはよう、メディウス」


「おはようございます! アンナさん」


「おはようございます。メディウス坊ちゃま」



 今日も良い一日が始まりました。

 お日様はサンサンと輝いて居て、洗濯日和です。



「アンナさん、僕も手伝うよ」


「いえ、これは私の仕事ですから」


「いえいえ、一人じゃ大変ですから」


「うう………」


「どうしたんですか? アンナさん」


「いえ、メディウス坊ちゃまがお優しくて、感動してしまいました」


「確かに、いい子に育ってくれてるわね」


「ああ、もうすぐメディウスも5歳だもんな」


「ええ、普通の子に産まれてくれてよかったわ」


「ああ、彼が勇者の生まれ変わりじゃなくて良かったよ」



 僕は産まれて、0歳で立ち上がり、そして言葉を1歳には話始めた。その時になって、巨人は実の父と母で、僕が飲んだのはお母さんのおっぱいだと気付いた。


 始めは物凄く腕白な性格らしく、両親は少し心配してたんだけれども、僕が2歳になる頃、少しづつ大人しい性格に変化していき、3歳になる頃には今の性格に落ち着いたのだとか。正直自分の0歳と1歳の性格を僕は覚えていないので、どれだけ我が儘だったのかすら知らない。


 侍女のアンナさんに尋ねても顔に影を落とすだけで、決して僕の赤ん坊時代については口を開いてはくれなかった。


 そんな元気で、成長の早かった僕は、3歳の時鑑定士によって、神の加護を受けていないか、検査をされた。何故なら、この世界の勇者が消えたため、勇者が殺された年に産まれた子どもは、隈なく検査をされたのだ。


 勇者の生まれ変わりが居ないか? 捜す為に。


 結果は、僕は勇者じゃ無かった。

 それどころか、神様から何も特筆すべき加護を与えては貰えなかった。


 勇者じゃ無くても、優れた加護を授かった場合、次世代の剣聖、賢者、魔導士、戦士、聖女、精霊使い、スレイヤー、アサシン等になれる可能性があり、例え成れなかったとしても、冒険者になれば将来Aランクになれる素質が十分にあるため、安泰なのだとか。


 僕にも加護が無かった訳じゃない。

でも、今まで見た事も聴いたことも無い加護が付与されていたので、国の鑑定士からは普通の子と認定された。


 どうやら僕は、あの年に産まれた最期の子であり、かつ勇者が見つかって居なかったため、鑑定士たちは期待したのだが、鑑定後はガックリとした様子で王国へ帰って行った。


 期待を勝手にされて、違ったら溜息をつかれる、そんな幼子の気持ちを考えて欲しい。僕はまだ子どもだけど、他人がどういう眼で僕を見ているのか? それぐらいもうこの歳でも分かるのだから。


 僕の加護は僕自身謎だった。

 でも、僕の加護が一体何なのか? とても気になったので、僕は鑑定士が置いて行った紙と毎日にらめっこすることが日常となっていた。



名前:メディウス・アーネスハイド


身分:元男爵家、現騎士の息子

レベル:1


HP 002 MP 0001

STR 001 ATK 不明

DEF 051 AGI 001

LUK 不明 INT 0005

CHR 00001



EXP 0


加護: 便利眼、マガジン、イマジン、口寄せ、アニメ、ズルXX、X間XX、XXX、X憶X、速読、X生X力、不明、その他


魔法属性:8


勇者確立:対象外

英雄適合率:なし



「う~~ん、何度見ても自分のステータスってしょぼいんだよな~~」

「殆どが1桁で、唯一防御だけが2桁」

「しかも加護は碌なものが無いし、文字化けしてて、他が何なのかすらわからないし? それに試してもどれも全然使えないし」

「特に魔法属性の8って何だよ?」


 別に修行も何もしたことがないので、戦闘系に関係する能力が低いのは良いとして、結構本を読んで居る割に、INT賢さが9という低さには自分でも驚いた。 


 僕は自分の部屋で項垂れていた。別に勇者とか賢者だとか、そう言う凄い人には憧れもしないし、成りたくもない。でも、僕はこのままでは親に迷惑をかけてしまう。父は曲がりなりにも騎士だ。


 この辺境の田舎町に派遣されて、モンスターから町の人々を守っている。


 此処は辺境だけ有って、何も特筆すべき産物もの無いため、魔物すら見捨てる町と言われている。だからと言って、ゼロってわけじゃ無いけど。魔物が好む餌や鉱物も無いらしく、此処をうろつくのは人や家畜の肉を求めるGかF級ランクの下等な種族くらいらしい。


 この田舎町には、父と同じ騎士が3人常駐している。常駐と言うか、もう住み込んでいると言ってもいい。国から、土地を与えられた貴族が、自分等の敷地を管理するため、各土地に騎士を派遣している。


 因みに父は三級剣士で、冒険者のレベルで言えばDランクかCランクらしい。しかし、冒険者のレベルってこと自体僕には分からないが、自信ありげに言って居たので、多分凄いのだろう。


 でも、父がいつも鞘に納めている剣は鉄素材だ。幾ら僕がまだ幼くとも、本で読んだ知識からすると、銅や青銅よりもマシってだけで、大したことが無い。それと本に書かれていた事だが、三級剣士なら銀の剣等を貴族や国から授与されると有った。


 もし、父のおっしゃってる事が本当だとしても、現在此処いらで出没している魔物やモンスターのランクを考えると、下等な種類ばかりなので、剣の腕も鈍るのでは無いかと? 思ってしまう。


 でも、5歳になれば父も剣術を僕に教えてくれるとの事なので、その時に改めて父の強さが分かると思う。


「もうすぐ誕生日だ~~楽しみだな~~」


「うふふ、そうですね。お坊ちゃま」


「わっ!? アンナさん、何で?」


「いやですわ、お坊ちゃま。ドアを開けたままですので、普通に聞こえてきますわ」


 

 うげっ、僕としたことが、ステータスの紙を見るのが夢中で、すっかりドアを閉めるのを忘れていた。これじゃあ確かに賢さ9なのは納得するしかない。


 でも、一体どうすれば、何をすればもっと賢くなれるのだろう? 本を読めば賢くなると母には言われたが、実際には成れていない。



「はあ~~」


「どうしのです、お坊ちゃま? 溜息などつかれて」


「いや、僕は特筆した加護が無いから、僕は僕なりに頑張ろうと、本を毎日読んでるんだけど、一向に賢くなれないっていうか」


「お坊ちゃまは賢い方ですよ」


「いや、でも鑑定士から貰った紙だと、僕は賢さ9だよ」


「確かにそうですが、それは約二年前の結果で御座いますよ」


「あっ!? やっぱ僕は賢く無いみたいだね。そうだった、この紙は過去のものだ」


「そうですよ、それは古い物です。紙なので、どんなに坊ちゃまが努力なされても、今のステータスを確認することはできません」


「そっか、でももし新たに今の自分のステータスを確認したい場合、王都に行かないと無理だよね?」


「いえ、そんな事は有りませんですよ」


「えっ? アンナさんそれはどういう事ですか?」 


 「確か隣町に行けば、鑑定士の方が居ると聴いたことがあります。前の王都から来られた方は、坊ちゃまが勇者や賢者等の英雄の素質をお持ちかを確かめる為に来た特別な方々です。普通の鑑定能力では、そこまでは確認できませんが、坊ちゃまが確認されたいスキルであれば、隣町にいる鑑定士でも可能かと存じます」


「そうなんだ。でも、僕一人じゃ隣町に行くのは流石に無理だよね?」


「そうですね~~、ご主人様に頼んで見てはどうでしょうか?」


「父に?」


「はい、誕生日プレゼントに鑑定をして欲しいとかおっしゃいましたら、ご承諾いただけるのでは無いでしょうか?」



 よし、決めた!?


 自分の現在のステータスを確認するために、王都へ行こう。

ついでに、面白そうな本が有ったら、おねだりもしてみようかな~~。








 INT+50

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