第3話 新世界には絶望しかない


 新世界に神はいない。


 人々は毎日死を恐れた。


 この世界はまだ新しい出来た星。しかし、それでも幾多の魔の手からこの世界は過去降臨した勇者により悪は打ち滅ぼされていった。


 しかし、今回現れた闇の化身魔王ギルモア・ダークは今までとは違った。物凄く強大な力を持ち、彼が生み出したとされる戦士、六魔将により、なんと勇者は殺された。そう、彼は魔王の姿を見ぬまま戦死したらしい。


 決して、今回の勇者が弱かったのでは無い。鑑定でも歴代の勇者よりも優れていた。群を抜いて、トップの剣の達人でも有った。剣の腕なら、剣聖と謳われる者とも引けを取らなかった。


 しかし、そんな彼をも易々と六魔将の一人は、命を奪える程に強かった。


 六魔将の一人は勇者の首を撥ねると、王都にある教会の扉に櫛刺しにすると、そのまま飛び去った。


 それを見た民衆はパニックとなった。より闇の力がこの世界に傾きつつあるという事実を突きつけられたからだ。


  この世界の人々は絶望した。

 この世界は、今世を持って朽ち果てると。


  中には、喚起する者もいた。

 これで、魔族の夜明けが到来すると。


  光を心酔するものは慄き、闇を崇拝する者は叫んだ。



  ━━魔王 ギルモア・ダーク万歳と!?━━



 聖女も病に倒れ、床に臥した。光の加護を生来より受け継ぎし彼女には、闇の力が強大になればなるほど、人一倍に瘴気となり、身体を蝕んでいった。


 

 それを聴いた民衆は一層パニックとなった。


 この王都も終わりだ。幾ら騎士や剣聖がいようとも、魔王には勝てないと、いや魔王の配下にすら勝てないと。


 人族最強の勇者がやられたので無理もない。いや人類だけでなく、エルフ、ドワーフ、亜人等居る中で、最強と呼ばれた勇者ルーザー・マケルシカナイトは敗れたのだから。


 それでも、国王はこの世界に居る最強の戦士達に助けを求めた。この国以外からの剣聖も馳せ参じ、勇者と共に力を合わせた魔導士、賢者が戻り、そして、ダンジョン巡りをしているS級ランク冒険者も冒険を止め、集まった。

 

 しかし不思議な事に勇者がこの世界から消えた後、ぱったりと魔王軍からの行軍は無くなった。


 不気味な程静かに。

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