青木勇気は語る


 ガキセイギが《王に選ばれし民》を退けた翌日には、奴等がこの世界にばら撒いた"桜のはなびらの様な形をした謎の物体"によって、人間が変化させられた《バケモノ》と呼ばれる存在が現れ始めた。


 最初に現れたバケモノの名は《デカギライ》


《王に選ばれし民》が現れても、未だ英雄の力を掴めずにいた俺はヤツに一度屈した。

 しかし、正義と桃井のお陰で自分の中にある《勇気の心》を知った俺は、メタリックブルーのボディスーツに身を包む、


《勇気の英雄 ガキユウシャ》


 ……となって、ガキセイギと共にデカギライを倒した。


 次に現れたバケモノは《ホムラギツネ》……

 俺達が幼い頃から通う駄菓子屋の店主のお婆ちゃんや、桃井の憧れの先輩である真田萌音さんの助けを借りながら俺達は奴等と戦った。

 しかし、この戦いで桃井は大切な人を失ってしまった。

 けれど、桃井は強い。

《愛の心》を掴み、メタリックピンクの英雄、


《愛の英雄 ガキアイシン》


 ……となり、輝ヶ丘を救ったのだ。



 だが……



 共に世界を守ると誓い合った筈の、黄島夢と緑川優は未だに俺達の前に現れてはいない。


 黄島はアメリカに渡っていて、緑川はまだ中学生ではあるが、約束の日の前に俺と桃井が連絡を取った時には、『日本に帰る手筈は整えてある』と黄島は返してきたし、緑川も了解の旨を伝えてきてはいたのだが、二人は結局まだ……


 正義は『来ないには何か理由がある筈だ』と二人を信じているみたいだが、果たして。


 まぁ……そうは言いつつも、俺も黄島と緑川を信じてはいるがな。

 確かに、二人は何も理由が無いのに逃げ出す人間ではないから。


 しかし、二人が俺達の前に姿を現さなくても《王に選ばれし民》は待ってはくれない……バケモノは現れる。

 戦い続けるしかないのだ。

 戦いの先に、平和が待っていると信じて。

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