第7話 バイバイね…… 26 ―何回使ったボズか?―
26
絶望と希望は相互関係にある。絶望が深ければ深い程、希望の光が見えた時、世界は一気に明るく見える。
逆もまた然り、希望の光が明るければ明るい程に、絶望が顔を覗かせた瞬間、渇れ果てぬ涙や枯れても尚止まらぬ叫びが、希望を持ってしまった者に襲い掛かってくる…………神は最初に、アイシンに希望を与えた。
―――――
アイシンの肩に止まったボッズーは聞いた。
「アイシン、キュアリバは何回使ったボズか?」
「キュアリバ?」
「そう、アイシンの腕時計から出てくるピンク色の光の事だボズよ」
「あっ……鎧の事?それなら、12回……13回くらいかな?」
「なるほど……それなら後87回か。ギリギリかもしれないボズな」
「ギリギリ? 何それ? どういう意味?」
ボッズーの説明不足の言葉に、アイシンは首を捻るばかり。
「ちょっと待てな。説明は今するボズ。重要な事だからよぉく聞くんだボズよ」
そう言ってボッズーは《キュアリバ》とは何か、そして『これからアイシンが何をしなければならないのか』の説明を始めた。
「まず、キュアリバは鎧だけじゃないボズ。キュアリバの一番強い能力は他にあるボズ」
「他に……?」
驚いたアイシンは眉間に皺を寄せる。
「うん、キュアリバはその身に纏えば腕時計を叩いた分だけ頑丈に出来る鎧にもなるけど、もっと凄いのが、腕時計を叩いた分だけ、アイシンが対象と決めた存在の"時間を巻き戻す"事が出来る光なんだボズよ」
アイシンを見詰めるボッズーの瞳は『どうだスゴいだろ!』という感じでキラリと光った。
「時間を……マジで?」
逆にアイシンは驚き過ぎて眉間の皺が更に深くなる。
「マジボズ。対象の規模も腕時計を叩いた分だけデカく出来るボズ。キュアリバの回数は全部で100回だから、残り87回。輝ヶ丘全体を対象にするならギリギリ……でも間に合う回数だボズ。本当は赤と青の石の時間だけを巻き戻して、スイッチが入る前の状態にすればOKだから、輝ヶ丘全体を対象にしなくても良いんだけど、赤い石が何処にあるか分からない状態なら、全体を対象にした方が良いと思うんだボズ!」
「じゃ……じゃあ、さっきボッズーが言った『時間を巻き戻す』って、それを私がやるって事なの?」
「そうボズよ!」
突然の"超能力"、アイシンは戸惑いを隠せなかった。
でも、アイシンは幼い頃から英雄になる人生を自分自身で選び、歩んできた人物………その決断は早かった。
「そ……そうなんだ。ちょっ……ちょっとエグすぎる力で、驚きが隠せないけど……本当に私にやれるんだよね?」
「勿論ボズ! キュア&リバース、それが《キュアリバ》。本来なら傷付いた人を助けられる能力なんだボズ! 《愛の英雄》のガキアイシンにしか出来ない能力だボズよ!!」
ボッズーは再び小さな翼で飛び立つと、アイシンの顔の前まで来てアイシンを励ます言い方でそう言った。
「そっか……分かったよ! 私、やってみる!」
アイシンは希望に溢れた表情でコクリと頷いた。
「うん! それじゃあ、今から使い方を教えるボズね!」
……と、ボッズーは言った。
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