第5話 化け狐を追って 17 ―私は終わらせたい……だから化け狐になった―

 17


「黙れ……」


 私は相手の頬を強く叩いた。


 今更、私の正体に気付いて、今更、私に抗おうとしても無駄なんだ。ずっと騙されていたくせに……


 私は、私の願いを叶えるんだ。邪魔者はいらない。


 私は、私の最期を邪魔されたくない。


 悲しみしかなかった人生に、苦しみしかなかった人生に、無駄に生きた人生に、終わりを与えるんだ。


 長かった……長かった……長過ぎた……


 最期は素晴らしい炎と共に、腐った人生を共に過ごしたこの町と一緒に、私は終わりたいんだ……



 第三章、第5話「化け狐を追って」 完

 ―――――


 第三章、第5話「化け狐を追って」を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

 次回、第6話「剥がれた化けの皮」をお楽しみに。

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