第4話 中と外の英雄 16 ―待っているんだ―

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 愛との通信が切れると、正義は少し寂しそうな表情をしながら腕時計から顔を上げた。

「切れちまったぜ……」

 そして、彼は少し固めの背もたれに背中を預けると右に首を傾け窓の向こうの外を見る。


 ……現在、正義と勇気とボッズーは本郷にあるファミレスに来ていた。彼らはゆったりと飯を喰っている……という訳ではない。彼らの目的は飯ではなく、今正義が見詰める窓の先、ファミレスから道路を一つ挟んだ先にある雑居ビルにあった。


 正義達が居るファミレスがあるビルも、1階は薬局、2階にファミレス、3階から最上階の10階まではオフィスになっていて"雑居ビル"と呼べる物なのだが、正義が見詰める先にあるビルは1階が牛丼屋、2階が居酒屋、3階にカラオケ、4階はエステサロン、5階は消費者金融、6階は真っ暗で窓には『テナント募集』と張り紙が貼ってあって、ファミレスのあるビルよりか"典型的"な"雑居ビル"という感じのビルだった。


 そんなビルの何処を正義は見ているのかというと、それは牛丼屋の脇にある自動ドアだ。脇にあるからそれは牛丼屋の自動ドアではなく、2階から上の店に行く際に使う自動ドアだ。勿論、出る際にも使う自動ドアでもある。

 自動ドアを通れば小さなエレベーターとその横には階段があり、客も各店の従業員も入室&退室の際にはこの自動ドアを通る事になる。

 正義が用のある人物も勿論この自動ドアを通らなければビルの外には"出られない"……そう、正義は待っているんだ。"出てくる"のを。



 第三章、第4話「中と外の英雄」 完

 ―――――


 第三章、第4話「中と外の英雄」を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。


 正義達は待っている……待っているんだ。

 次回、第5話「化け狐を追って」では、正義達は遂に"ヤツ"を追い詰めます!

 どうぞお楽しみに!!!!!

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