第4話 中と外の英雄 13 ―ドンドンズズン―

 13


 ドンドンズズン……


 愛は地団駄を踏んだ。


 ドンドンズズン……


 その理由は簡単だ。


 ドンドンズズン……


《英雄たちの秘密基地》に到着したは良いものの、


 ドンドンズズン……


 正義も勇気もボッズーも、誰も居なかったからだ。


「何で誰もいないの!!」


 そうは言っても仕方がない。正義達は輝ヶ丘の外に居るのだから。


 ドンドンズズン……


「昨日も今日も、いったい何処に行ってるの!!」


 でも、愛はそれを知らないのだから、これもこれで仕方がない。


 ドンドンズズン……


 そして、秘密基地で地団駄=足踏みをすると出現してしまうのが、《願いの木》がある部屋へと繋がる"隠し階段"だ。


 ドンドンズズン……


 ゴゴゴゴ……ドスンッ!!


「あっ!」


 図らずも現れてしまった隠し階段を見て愛は驚いた。でも、


「ん?」


 その階段を見て愛は思った。


 ― もしかして、みんなは願いの木がある部屋に居るのかも?


 ……なんて事を。


 だから愛は願いの木のある部屋へと向かった。


 しかし……


 ドンドンズズン……


「何で居ないの!!」


 正義達は輝ヶ丘の外に居るのだから、やっぱり何処を探してもいる訳もなくて、


 ドンドンズズン……


 愛はまた地団駄を踏むのだ。

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