第4話 中と外の英雄

第4話 中と外の英雄 1 ―セイギとピエロの一騎討ち― 

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 あれから二時間が過ぎた……

 あと一時間もすれば、日も暮れ始めるだろう。しかし、セイギ達の戦いは未だに続いている。




「ハァ……ハァ……流石だなガキセイギ……俺の退屈も大分紛れたぜ。でも、その代償にお気に入りの服がボロボロだ……お前のせいだぞ……弁償かな?弁償してくれるんだよなぁ?」


「黙れ……ごちゃごちゃ冗談ばっか吐くな! 決着をつけようぜ……この手をこじ開けさせてやる!」

 セイギは『この手』と言いながら足下をドンッと蹴った。


 現在、セイギとピエロは睨み合っている。其々の武器をその手に持って。だが、ピエロの武器はもうバズーカではない。"バズーカだった物"だ。

 ピエロのバズーカは破壊された。その先端は斜めに斬られ、今では竹槍の様に鋭く尖ってしまっている。これではバズーカの役目は果たせず、それこそ槍の様にでしか武器としては使えない。

 勿論、ピエロのバズーカを破壊した者はセイギ。彼は『防戦一方で終ったさっきの戦いのリベンジだッ!!』という気持ちを乗せて、"この場所"に来た時、ピエロがバズーカを撃つ前に大剣を振るってバズーカのバズーカとしての命を終わらせたんだ。……大剣の切れ味が鋭すぎて、槍としての能力を持たせてしまったのはセイギにとって想定外だったが、それでも接近戦には持ち込めた。接近戦ならば両者の力は拮抗する。戦い始めて二時間、今では双方ともにダメージを負い、ピエロの服はボロボロになり、その体からは黒い血が流れている。セイギもそうだ。スーツは内部メカが露出し、バチバチと火花を散らしている……どちらが勝ってもおかしくない状況だ。


「こじ開けさせるだぁ? お前……さっきからそれしか言わないな……そんな事する訳ないだろ!!」


「いいや……やらせるさ! 俺が勝ってな!! 絶対に!!」


「ほざくな!! クソガキがぁ!! お前が俺に勝つぅ?何言ってるんだ!! 俺は《王に選ばれし民》だぞッ!! テメェがそんな事ほざくには百年早いんだよッ!! ブッ殺してやるッ!!!」


 セイギと3m程の距離を取っていたピエロは唾を飛ばしながら走り出した。その手に持った槍をセイギに突き刺す為に。


「勝つさ、出来るさ……だって俺は《王に選ばれし民》をブッ潰す男だからなッ!!!」

 セイギは立ち止まったままピエロを迎え討った。

「デェアッ!!!」

 セイギは大きく叫びながら大剣を振り下ろす……



 ………



 ……………



 これは、文字通りの一騎討ちだ………でも、何故二人は一騎討ちの状況に持ち込めた又は持ち込まれてしまったのか。それを知るには少し時間を巻き戻す必要がある。

 切っ掛けは、セイギが自分達が挟み撃ちにあってしまったと気付いた時から………

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