第6話 勇気の心を武器にして 5 ―新技完成!―

 5


 ここは願いの木が立つ部屋。ここに赤井正義はいた。

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 いや、今は赤井正義ではないガキセイギだ。翼の大剣を手にするガキセイギは、大きく肩で息をしながら仮面の奥でニカッと笑った。

「やっっっっっと出来たぜ!!」

 セイギは満足そうに大声で叫んだ。どうやら正義の修行は終わったようだ。

 そして、セイギは腕時計の文字盤をポンっと叩くと、変身を解除して、青葉の絨毯の上に足を大きく広げてベタンッと座った。

「ふぅ……疲っかれたぜぇ!!」


「やったなボッズー!!」

 ボッズーが飛んできた。ボッズーも嬉しそうにニコニコと笑ってる。


「あぁ! もう腕がパンパンだぜ! でも、これで行ける!」


「うん! 後は勇気が来れば万事OKボッズーね! でも、本当に来るのかアイツは?」

 そう聞くボッズーは、笑いながらも少し心配そうに首を傾げた。


「へへっ! おいおいボッズー、俺の言葉を信用してくれたんじゃなかったのか?」


「う~ん……そりゃ信じるって言ったけど、やっぱりちょっとまだ心配ボズぅ」

 ボッズーは首を傾げたまま、今度は腕を組んだ。


 でも、どうやらボッズーと正義は、勇気の件での喧嘩を一応は決着させたみたいだ。


「へへっ、じゃあ俺を信じろよ! アイツは来る! 勇気は《勇気の心》を持ってんだからさ!! それは、アイツが俺に腕時計を渡した時に証明されてんだ!!」


「ふぅ~ん……そっかボズぅ」


「何だよ、まだ何か言いたのか?」


 ボッズーの顔にはまだ含みがある。


「う~ん……何でもないボズよ。分かったボズ……」


「へへっ! ならOK! それより、新しい技の名前どうするんだ? 決めてくれよ!」


「ん? 技の名前?」

 この質問にボッズーの顔色は明るく変わった。

「そりゃあ、もう決まってるボズよ! 『大回転! ジャスティススラッシャー!!』だボッズーッ!!」

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