第5話 俺とお前のオムライス 18 ―勇気の笑顔がキラリと光る―

 18


 放課後、

 勇気が校門を出ると、誰かがその背中をポンっと叩いた。

「よっ! やったなっ!」

 勇気が振り返ると、予想通り、やはりそれは正義だった。

 正義はニカッと笑ってる。笑いながら勇気のランドセルを更に二回ポンポンっと叩いた。

「山田に勝てたぜ、俺達!!」


「うん! そうだね! やったね!」

 正義の笑顔に釣られて、勇気も同じくニカッと笑った。

 そして、笑っているのは勇気と正義だけじゃない。正義の後ろを付いてきていた、隆、紋土、拓海もそうだった。


「スゴいよ二人とも!」

 紋土は勇気と正義に拍手を送っている。

「あぁ、スカッとしたぜ!」

 これは隆だ。隆も勇気を讃える様に勇気のランドセルを叩いた。

 拓海の方は、勇気の前に回り込むと

「ねぇ、今日さ、俺達4人で遊ぶんだけど青木くんも来る?」

 勇気を遊びに誘った。


 昨日までは山田を恐れて勇気と関わる事を避けていた三人だったが、どうやら今日の勇気の活躍を見てそんな考えは捨てた様子だ。


「遊び? う~ん……遊びかぁ」

 でも、勇気は渋い顔。


「どうしたの? 嫌か?」


 正義がそう聞くと、勇気は首を振った。


「ううん……嫌じゃないよ。ただ、今日は塾があるんだ」


「塾?! マジかよ、お前天才なの!」


「天才? 何で?」


「だって、塾行ってるんだろ? だったら天才じゃん!!」

 どういう理屈なのだろうか? 正義の中だと『塾に通う=天才』らしい。


「ハハッ! また出た正義の変なの! 分かったよ、じゃあ青木くん明日また誘うよ!」

 隆はカラッとした性格だ。勇気の事情をすぐに受け入れた。


「うん! そうしよう! 明日遊ぼう!!」

 勇気は隆からの誘いをすぐに承諾した。満面の笑みで。………というか、さっきから勇気はずっと笑ってる。新しい友達が出来る予感に、勇気は胸を躍らせていたんだ。

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