第5話 俺とお前のオムライス 7 ―友達は正義を心配する―

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 勇気が山田に待ち伏せをされていた時、正義も同じく下校中だった。でも、勇気と違って急ぐ訳じゃなく、隆たちと一緒にダラダラとおしゃべりをしながら。勿論その話題の中心は正義と勇気の事だ。


「へぇ……青木がねぇ」


「うん! そうなんだぜ隆! 500円分もだぜ! スゲーよな!」


「でも、何か信じらんない。昨日あんなにいがみ合ってたのに」

 これは紋土だ。紋土たちは正義から、昨日何があったのかを聞いたんだ。


「でもさぁ正義、あんまり青木とは仲良くしない方が良いと思うよ……」

 今度は拓海。


「なんで?」


 拓海は正義の話を聞く内にドンドン顔をしかめていっていた。その理由は……

「心配なんだよね……」


「心配? なんで?」

 みんなの先頭を歩いていた正義は、後ろを振り向き拓海に向かって首を傾げた。


「だってさ……アイツ、転校してきてから毎日山田と喧嘩してるんだぜ……絶対目を付けられてるよ」


「目ぇ? どういう意味?」


「ターゲットにされてるって意味!」

 拓海に代わって答えたのは紋土だ。色黒でひょろ長い紋土は、短い坊主の頭を撫でながら心配そうな顔で正義を見ていた。

「山田ってさ、幼稚園の頃からさ、いっつも誰かイジメのターゲットに出来る人を探してるんだよね……」


「そうそう……」

 拓海は紋土の言葉に頷いた。紋土と拓海は山田とは幼稚園から一緒なんだ。だから昔の事をよく知っている。


「それじゃあ、勇気がイジメられるって事?」


「それもそうだけど……」

「うん……」

 紋土と拓海は二人揃って正義を指差した。


「俺?」

 正義も自分自身を指差す。だが、正義はすぐに笑った。

「へへへっ! 大丈夫だよ! 俺、山田とは何度も喧嘩してるし! それに、もし勇気がイジメられそうになったら、俺が山田をぶっ倒ぉ~~す!」

 そう言うと正義は腕を大きく広げて飛行機みたいな形で走り出した。


「な! 愛!!」

 すぐ近くを歩く集団の中に愛を見付けたんだ。


「正義ぃ~! 急に走んなよ~!」

 隆たちが追い掛けてきた。

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