第4話 みんなを守るために…… 11 ―次はお前だ―

 11


「オラァーーーーッッッ!!!!」


 セイギは拳を強く握り、火事場の馬鹿力そのままで"セイギの正面に立つデカギライ"の顔面をブン殴った。



 ゴキゴキゴキゴキッ………



 鈍く嫌な音を顔面から鳴らして、

「グワァーーーッ!!!!」

 殴られたデカギライは強風に打たれた様に飛んでいく。


「フゥ……フゥ……フゥ……」


 セイギの疲労は困憊だ。肩で息をしなければならない程だ。でも、まだ戦いは終わらない。セイギはデカギライを殴った方とは反対の手で持っていた大剣を、両手で持ち直す。


 現在、攻撃を受けずに万全の状態でいるのは、セイギに関わらずに、セイギを助けに行こうとしたボッズーの"邪魔をしたデカギライ"だけ。


 セイギはこのデカギライを睨んだ。『次はお前だ……』と言う様に。そして、セイギは走り出す。


「クッ……クソガキがぁ!!!」


 自分に狙いが定められた事に気が付いた"邪魔をしたデカギライ"は弾丸を連発した。


「フンッ!!!」


 しかし、セイギは走る勢いを利用して地面を滑り、弾丸の下を潜った。スライディングだ。


「ハァッ!!!!」


 そして、セイギは一気に"邪魔をしたデカギライ"に近付くと、スライディングの勢いのまま大剣をデカギライの体に突き刺した。


「なッ!!! ………この……クソ……ガッ」


 自分に突き刺さった大剣を抜こうとデカギライは刃に手を置いた。でも、セイギはその手を無情にも振り払う。セイギは立ち上がった。立ち上がりながら更にグッ……と大剣を押し込む。

 デカギライの傷口からは分身を作る時に発する光の粒子がゆっくりと漏れ出した。漏れた粒子は、"地面に落ちた雪が溶ける様に、空中に溶けていく"。


「…………ッ!!」

 そして、セイギは押し込んだ刃を勢い良く引き抜き、

「ハッ!!!!」

 その大剣を頭の上まで振り上げ

「ドウリャッ!!!」

 一気に振り下ろし、デカギライを縦一線に斬った。


 でも、まだセイギの攻撃は止まらない。


「デリャッ!!」


「テェヤッ!!!」


「オゥリャッッッ!!!!!」


 続け様の連撃……


「う……うぅ……!!」


 三撃目をくらわせるとセイギは、舞を踊るう様に身を翻しデカギライに背を向ける。


「うぅ………くっ……クソォッッ!!!」


 斬られたデカギライは傷口を押さえ、一歩、二歩と後退した。その体は"体の形だけを残し"光の粒子へと変わっていく。

 デカギライに何が起きようとしているのか、それはセイギには分かる。確実な手応えがその手には残っていたから。だから、セイギは歩き出す。


「後……三体か」


 その言葉を合図とするかの様に、光の粒子へと変わったデカギライは………爆発した。

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