第4話 みんなを守るために…… 8 ―二度あることは三度ある―
8
「セイギッ!!!」
ボッズーはセイギを助けようと急いで飛び立った。火花を散らすガキセイギのスーツ、その光景にボッズーは見覚えがあったんだ。それは、セイギが《騎士》の攻撃をくらったあの時だ。
あの時もセイギのスーツは火花を散らした。そして、小さな火花が全身を覆う程の大きな火花へと変わった後、スーツはエラーを起こしたかの様に消滅した。
今、セイギは羽交い締めにされている。もし、今そんな事が起きれば、スーツですら耐えられないデカギライの弾丸の群れを、セイギは生身で受ける事になる。そうなった時、セイギに待ち受けている運命は、"死"でしかない。
だからボッズーは急いだ………が、飛び立ったボッズーを阻む奴がいた。
それは、さっきボッズーに攻撃をしようとして爆撃をくらいヘリポートに落ちたデカギライだ。そのデカギライはボッズーがセイギを助けに行こうとしている事を知ると、起き上がってボッズーを撃った。
「うわぁっ!!!」
撃たれたボッズーは弾丸の衝撃に飛行のバランスを崩し、再びヘリポートに墜ちそうになる。
「くッ……くッ……」
翼をバタつかせ安定を取り戻そうとするが難しい。
「ち……ちきしょう!!!」
ボッズーは悔しかった。緑色したヘリポートが近付くにつれて悔しさが汲み上げてくる。
「BANGッ!!!」
そして、追い討ちの弾丸が発砲された。
「くッ……クソォ……」
ボッズーは小さく嘆く。自分自身を無力に感じたんだ。
だけど、ボッズーは小さな手を強く握った。それはまだボッズーが諦めてはいない証拠。
「やられて堪るかッ!! 頑張れって、頑張れってあの子が言ってくれたボッズー!!! だから俺はもっと頑張るんだボッズーッッ!!!」
ボッズーはバッサバッサと翼を振った。ボッズーを狙って撃たれた弾丸は、ボッズーが辿るだろう軌道を……墜ちていくだろう軌道を……読んで撃たれた弾丸だ。もし、ボッズーが墜ちていく自分を止められれば避けられる。
避けられればセイギを助ける一手が打てるだろう。しかし、命中すれば恐らくボッズーはヘリポートの外へと弾き飛ばされてしまう。そうなれば、セイギを助けられない……
― 出来る!! 俺なら出来る!! 頑張れ! 頑張れボッズー!!!
ボッズーは踏ん張った。ボッズーは諦めない。
『どんなピンチでも、諦めない心で挑めば、活路は開かれる』その事をボッズーは知っているから。何故なら、ボッズーはその経験がある。
一度目は《騎士》の攻撃を受けたセイギを助けた時。そして二度目はついさっき、デカギライに狙われた親子を助けた時だ。
「根性ォォォォォ!!!!」
だから今度も諦めない。だから今度も開かれる。二度ある事は三度ある。さぁ、ボッズーの真下、体のスレスレを弾丸が通過した。
そして、踏ん張り切ったその場所からは一体のデカギライの背中が直線上に見えた。それがどのデカギライかは弾丸を避ける事に注視していたから分からない。
でも、セイギを羽交い締めにした"最初に現れたデカギライ"ではない事は分かる。自分を攻撃してきたデカギライでもない事も分かる。ならば、セイギに弾丸を連発する内のどちらかだ。
― 今だ!!!
ボッズーは反撃の一手を打つ。諦めない心は墜ちていく運命を吹き飛ばし、飛行の安定も呼んだ。今のボッズーなら出来る。二本の翼をビュビュンモードへと変形させてジェット噴射で進撃だ。
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