第4話 みんなを守るために…… 3 ―ジェット噴射でブッ飛べ!!―

 3


 ボッズーは力み過ぎて血管が切れるかと思った。何故なら、ボッズーは既に限界ギリギリで飛んでいたからだ。いや、ギリギリじゃない。もう限界は超えていた。"光体をバグらせた時"と同じくらいのスピードは出していたから。

 しかし、それでもデカギライには追い付けない。ならば、もっとスピードを出さなければならない。


 ― もっとだ! もっと!! 限界を超えろ!! 限界を超えるんだボズ!! 《騎士》にやられたセイギを追い掛けた時、あの時が一番速く飛べててたボッズー!! あの時のあのスピードが出せたなら、今だって絶対に追い付ける!!! やれッ!! 俺ッ!!!!!!


 ボッズーは自分自身を鼓舞し、吸い込んだ空気を"下の翼"から勢い良く噴き出そうと更に力んだ。すると、


「おっ…………おぉ!! 何だ!! 何だ!!」


 体がカーッと熱くなり、力が漲る感じがした。


「凄いぞ!! 凄いのが来たぞボズ!!!」


 そして、


「行くぞボッズー!!!」



 ドカーーーンッッッッ!!!!



 まるで爆発だ。ボッズーの下の翼から噴き出された噴射は爆発を起こした様に馬鹿デカイ音を立てた。


「ワアーーーッ!!! セイギ!! これは!! これは違うぞボッズーッ!!!」


 ボッズーは気が付いた。『自分の翼から噴き出される空気は今までの物と違っている』と。それは何か、形か、それとも色か……いや、そう問い掛けられたらボッズーは『そのどれでもない』と答える筈だ。何故なら、形や色ではなく『本質的に違う』そうボッズーは気付いたからだ。


 そして、もう一つボッズーは気付く。脳の奥底に眠っていた記憶がまた一つ目を覚ました事を。


 ― そうか!! "分かった"ぞ!! 俺の体にはジェットエンジンがあるのかボッズー!!


 そうなんだ。タマゴでも鳥でもない未知の生物ボッズーにも、英雄達と同じくまだまだ秘密がある。本人でもまだ知らない秘密が。

 その一つがボッズーの体内に隠されていたジェットエンジンだ。

 今までのボッズーの噴射は『ジェット噴射の如く』であった。しかしそれは『如く』でしかなく、比喩表現でしかない。しかし、今ボッズーの体から噴射された物は『如く』じゃない。体内に隠されたジェットエンジンを稼働させ噴射された、正真正銘のジェット噴射だったのだ。


 ― 俺は今までビュビューンモードを正しく使えていなかったんだなボッズー! 本当のビュビューンモードは、体内に吸い込んだ空気をただ噴射するんじゃなくて、"エンジンを使い"より強い力にして噴射する!! これが本当のビュビューンモードなんだなボッズー!!!


 さぁ、徐々にデカギライとの距離は縮まってきた。デカギライが女性が乗る車に向かい始めてから、ここまで数秒。


「セイギ!! 手を!!」


「分かってる!! 伸ばしてるぜぇぇぇぇ!!!」


「何ぃ!! 邪魔をするな!! だったら……」


 デカギライは遂に銃を構えた。


「BANGッ!!!」

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